山下くんと女優ちゃん

注目の若手女優ちゃん ページ39

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なんでだろうね、上手くいないのは


いや、上手くいかないわけではないの


今の私に全然、余裕がないから……



山下＿今日も無理そう？

＿うん。ごめん



あまり人が通らない通路に出て小声で

愛しいはずの彼の電話に出た



山下＿そ……


＿……ごめん、もう戻らなきゃ


山下＿また時間できたら連絡して




コードブルーSPが放送されて一躍私は

"注目の若手女優"

と言われるようになった。

それは私にとっても事務所にとっても大きな進歩で



赤崎「どこ行ってたの？撮影始まるよ！！」


CMが新しく４本と映画が２本決まった。そのうち主演が１本。

もう一つも主演じゃないものの重要な役どころ。

しかも同時撮影だから、もう頭の中は大変な事になってる。

それだけじゃなくて、雑誌撮影もスケジュールパンパンに組まれている



今からは有名なランジェリーブランドのCM撮影


「ごめんなさい。トイレ行ってた」


なんてマネージャーにまで嘘をつくのは、こんな大切な時期に

恋愛を優先していると思われたくないから


スタ「お疲れ様でした！」





「はぁ」

赤崎「ため息つくと幸せ逃げるよ」


移動中の赤崎さんと2人きりになる時が唯一くつろげる時間


だったんだけど、最近は台本読みでくつろげる時間なんてのも無かったりする


赤崎「最近山下の名前聞かないけど、上手くやってるの？」

「１ヶ月くらい会ってない」

赤崎「ごめん…もっと余裕持ったスケジュール組んであげたいんだけど」

「大丈夫。それくらいで智久くんは別れようなんていう人じゃ無いから」


いつか私の事務所で智久くんが言ってくれた言葉を思い出すんだけど

本音は、今すぐ会いたい



「よろしくお願いします。」


主演じゃない映画は激しいアクション

初挑戦の私は誰よりも練習しなきゃついて行けない






大変な稽古も終わりを迎えて、今日は珍しく日付が変わる少し前に帰宅できた。


赤崎「ゆっくり休んでね。」


と言われるものの、明日は主演の映画の撮影があって台本をもう一度頭にいれなきゃいけない


お風呂に入りながら明日のセリフの確認をする


恋愛もので、読んでたらなんだか無性に


"彼"に会いたくなってしまう



気が付けば私は、私服に着替えてまだ少し濡れた髪のままタクシーに乗っていて


彼のマンションの下に着いてしまった


「……ど、うしよ」


マンションはオートロックで、帰宅した知らない住人さんのおかげで自動ドアが開き便乗した

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