キタヤマボックスR (ページ10)

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365+1の約束(5) ページ10

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「……次は、2020年になったらな」

「え…？」

「あんなの、4年に一度くらいしか言えねーよ。…それくらいで、ちょうどいいんだよ」

「…きたやま…！」

「うわ、なんだよ！暑苦しいっ…離れろ！」

「無理！絶対離れないし離さない！」

「～～っ…」

小さくこぼれた北山の言葉に、すべての疑問が解けたような気がする。

唐突すぎるとか、ムード作り下手すぎとか、ひどいこと考えてごめん。

北山は北山なりに…ううん、北山らしいちょっとひねくれた言い訳を用意して、一生懸命俺に気持ちを伝えてくれたんだね。

今日だからこそ届いた愛の言葉は、俺の体の内側をめぐりめぐって、優しい気持ちで満たしてくれた。

でもさ、北山…気付いてる？

北山は4年に一度でいいなんて言ったけど、それって4年後も俺と一緒にいてくれるって、そう言ってるのと同じだよ？

それくらいでちょうどいいなんて、とんでもない。

だってそれは、「あいしてる」の言葉よりもずっと、俺が一番欲しかった約束なんだから。

「…2020年が楽しみだな…」

「え、お前オリンピック出るの？」

「もー、北山！！」

「ふはっ、ごめんごめん」

甘いのが苦手なのは食べ物だけじゃないらしい北山は、俺をいつまでも甘い気分に浸らせてはくれない。

でも、それでいいよ。

北山はずっとそのままでいいから。

4年後の今日も変わらず、俺の隣で笑っていて。

fin.