【呪術廻戦】 これは、君を想うまでの物語

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甚爾程の威力には及ばずとも確実に大打撃を加えられる一撃であった。そんな東堂へ嘲笑うかのように一本の鋭い木の根が襲う。寸前で上体を仰け反り刺突を免れる。バックステップで距離を取って追撃を拒む。木の根が現れたとなれば呪術を発動したということ。あの強打を食らっても即座に術式を行使できるのならまだまだ祓うには及ばないという訳か。その事実に東堂は感嘆を零す。


「(特級呪具に俺の呪力を上乗せした打撃でも仕留め切れんとは！！)」


瞬間、背後の木々が葉を散らし枝は萎え幹は腐っていく。地面の草花は枯れていく様は急激に腐敗が進んでいくようだった。それも全て、花御が黒く染まった左腕で地べたに触れた時点から。左腕を覆い隠し封じていたのを考慮するとこれが左腕の効力なのだろう。

星を守る、それが花御の行動理念。生気を失っていく植物たちは掲げる思想とは真逆と言って良い。


「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(植物は呪力を孕みません。私の左腕は植物の命を奪い、呪力へと還元する)」

「■■■■■■■■■(その全てはこの”供花”へ)」

「■■■■■■■■■■■■(できることなら使いたくはなかった)」







左腕の肩の上にある蕾は吸った命を糧に開き始め、中央に目を覗かせる。言い終わると共に目を見開き溜め込んだ呪力を一点に集め始めた。ビリビリ肌で感じ取れる驚異。思わず冷や汗が頬を伝う。ここで”游雲”を入れ替わった虎杖が駆けつけた。


「東堂！！」

「来るなブラザー！！とんでもない呪力出力だ！！」

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(しかしアナタの術式があれば躱すのは容易いでしょう。ならばどうするか、)」

「＿＿＿■■■■(領域展)」


必中を可能にする領域を展開しようとした時、突如として黒に覆い隠されていた空が視界に飛び込んできた。つまり、覆い隠していたものが解かれたのだ。


「！！」

「”帳”が！！」


驚愕に双方上空を見上げる中、まるでそこに足場があるとでも言うように宙に浮かんでいる男が一人。一番の脅威として侵入と干渉を阻んだ。その役割が”帳”。これが消滅したと言うことは、襲来する以外の理由はない。

逆立てた白髪を下ろし宝石のような碧眼を惜しげも無く露わにしたその男。＿＿＿現代最強の一角、五条悟。参戦の狼煙が上がった。

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