【呪術廻戦】 これは、君を想うまでの物語

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「だが術式(それ)について詳しく説明している暇はない。俺からオマエに言えることはただ一つ！！」

「止まるな！！俺を信じろ！！」

「オッケー2つね！！」


文脈が噛み合っていない。それ程戦闘に集中しているという訳か、流石1級。東堂の術式が発動したとて虎杖の打撃、逕庭拳では特級に敵わないと東堂自身が言い切ったのだ。攻撃を加える為に呪力を込めなければならない。呪いは呪いでしか祓えない。呪力の篭もらない打撃では一分たりとも傷をつけることは出来ないだろう。

百鬼夜行でたった一人、1級呪霊五体相手に使わず特級呪霊のみに使用した術式はそれを可能にする程のものなのか。自信満々の東堂の思考にはこの戦闘の分析を進めていた。


「(彼奴の手札を整理しよう！！地面より発生する”木の根”。これは恐らく本数と射程を絞る程強度と速度が上がる)」

「(”木の鞠”。一つの鞠から1、2本の攻撃、その後消滅。対空可能、時間差に注意か…)」

「(”呪いの種子”。伏黒が喰らっていたモノだろう。一つでも撃ち込まれたらアウトか？その分乱発はないと信じたい)」

「(”お花畑”。気が緩んでしまうようだがさっきの負傷で気つけが効いてる。そこまで警戒は必要ない)」

「(更にあの解き放たれた左腕…！！そしてこれら全てがブラフである可能性！！！)」







「(だがどんな術式も発動させなければいいだけのこと！！不足の事態を考慮した上でIQ53万の俺の脳内CPUがハジき出した結論は…”勝利(ビクトリー)”！！！！」

「(何故なら俺は独りじゃないから。虎杖(ブラザー)！！オマエがいるから！！)」

「あ」


花御に向かって駆け出した東堂の足首を地面から生えた木の根が絡め取る。完全に不意を突かれた。勝利を確信し笑みを浮かべる東堂を嘲笑うかのような騙し討ち。木の根が伸縮し振りかぶると同時に足首を掴まれた東堂も引っぱられ意のままに翻弄される。

暫し宙を舞い遠心力で飛んでいった先には待ち構えるように大量の木の根が出現した。この状態の東堂には対処できない。


「東堂！！」


名を叫び向かおうとする虎杖へ接近した花御の拳のラッシュが襲う。捌くことで精一杯。東堂の元には行けない。だが、このままでは。焦る虎杖を猛攻する傍ら、確実に仕留められると認識し花御は残る虎杖の対処を考えていた。


「■■■■■■(まずは一人)」


東堂の背中に木が突き刺さる寸前、軽い音が鳴るまでは。

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