* ページ21
「
「チッ」
腕に切りつけた刀は金属音を鳴らして折れた。この呪具では掠り傷一つつけることは敵わない。三輪の刀を借りパクして挙げ句の果てに壊すことなどこの緊急事態の中では些細なことだった。続けざまに伏黒の一刀が花御の目部分に生えている枝を切り裂く。
「(目の樹は他と比べて脆い!!)」
「
「___おい、借りは返せよ」
低い声が聞こえた瞬間、花御が吹き飛び地上の木々をなぎ倒しながら遠ざかっていく。現れたのはぴちっとした黒インナーから屈強な肉体を覗かせ三節棍の呪具を手に持った一人の男。口元の傷をつり上げ伏黒と真希にオマエら俺に窮地を救って貰った礼忘れんじゃねぇぞ、と言い放つ。
誰かなんてもう分かりきっている。
「っ親父…!」
「甚爾、オマエこの期に及んでんなこと言ってんじゃねぇよ」
「あー?聞こえねぇな。”助けてくれてありがとうございます”しか聞こえねぇ」
「「一言も言ってねぇよ!!」」
そんなことを言っている場合じゃない。
何百メートルも飛ばされた花御は受けた打撃の脅威を身に染みて痛感していた。たった一発。されど一発。その一発で右腕は捥げ体を上手く動かすことができない。
「
男には呪力が感じられなかった。それ故に察知ができず不覚をとった。呪力が無ければ呪霊も見えていないはず、けれど確実に攻撃を当てる程知覚している。
続いてあの呪具だ。呪霊からしても良い物だと理解できる。等級は特級。名は、”游雲”。特級呪具の中で唯一術式効果が付与されていない代物。純粋な力の塊のその呪具は威力が使用者の膂力に大きく左右する。天与呪縛のフィジカルギフテッドたる甚爾と組み合わされば破壊力など想像するに余りあるだろう。
そんな花御の腹を鋭い突風が切り刻む。完全なる不意打ち。負傷で防御態勢すら取れなかった。
「
「君が悟の言っていた特級呪霊だね?話を聞いて是非欲しいと思っていたんだ」
一房垂らした前髪が特徴の男が歩み寄りにこやかに話しかける。その傍には、特級呪霊”鎌鼬”。
「___私を甘く見たこと、骨の髄まで後悔してくれ」
特級呪術師、夏油傑。ガチギレである。
64人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ボーダーライン(プロフ) - 久々の更新で長らくお待たせいたしました!私生活が立て込んでましてね…でもこれからはバンバン更新していきたいと思います!!骨マニアと女王様のコンビ、良いですよねぇ。ここだけの話、続編の幕間は女王様を掘り下げようかな、と。コメント有り難うございました!!! (2022年5月24日 17時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
猫さくらもち - あぁ〜〜〜!久しぶりの更新ありがとうございます!!毎日楽しく読ませてもらっています!これからも更新まってます!頑張ってください!ちなみに私は骨マニアと女王様のコンビが好きです!! (2022年5月24日 17時) (レス) id: f692ce80b7 (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - 全作!有り難うございます!!骨マニアはキャラ立ちしてるし動かせやすいんですよね。個人的に押してるのもあるんですけどフハハ。女王様も好きだけどキャラが未だに掴めない、正に女王様。これからの活躍も乞うご期待!!更新頑張ります!! (2022年3月2日 13時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
はるみん - 全作読ませていただきました‼︎大好きです‼︎今作も骨マニア大活躍ですねw (2022年3月2日 0時) (レス) @page6 id: ab207372ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ボーダーライン | 作成日時:2022年3月1日 11時