【呪術廻戦】 これは、君を想うまでの物語

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夜蛾の指示を受け五条・夏油・甚爾・歌姫・楽巌寺は観覧席を飛び出し、各々走って生徒たちの元へ向かう。外に出て認識したのは空に浮かぶ黒い澱。今にも”帳”が下りようとしているのだ。先程夜蛾が口走った外部の人間、侵入者という言葉。切羽詰まった美々子と菜々子のメモ。突如全ての札が燃えた一件。

それら全てが、生徒の身の危険を示していた。地を蹴り駆ける歌姫が隣を併走する夏油と建造物の屋根を疾走する五条に激烈を飛ばす。コイツら(最強)が入れば何とかなるだろう、と。


「五条！！夏油！！”帳”が下りきる前にアンタたちだけ先行け！！」

「いや無理」

「はぁ！？」

「どういうことだい、悟」

「(実質あの”帳”はもう完成してる。視覚効果より術式効果を優先してあるのか、上手いな…)」


夏油は確かに質問をした。だが答えない五条の「いや無理」という発言を踏まえて考え、同じ結論を導き出す。長年の経験で思考は読めるが腹は立つ。質問に答えろよ。通常の”帳”では、五条の言う視覚効果と術式効果が同時に下りていく。けれどこの”帳”は視覚効果を遅らせるのを引き換えに術式効果を速めてるのだ。それは恐らく”縛り”だろうか。

遂に視覚効果すら下りきって”帳”が生徒たちのいる、指定された区画内を覆うように張られた。ようやく”帳”の前に辿り着いた五条はだからなんだとその幕に手を伸ばす。


「下りた所で破りゃいい話でしょ」







瞬間、電流に手を当てたように掌に衝撃が伝わり、弾かれた。無限を張っているのにも拘わらず痺れに似た痛みが伝わったのだ。


「……？」

「ちょっと、なんでアンタがハジかれて私が入れんのよ」

「可笑しいな。私も通れるよ」

「ん、特に違和感ねぇな」


怪訝な顔の歌姫が指したことを示すように白い小袖を捲った腕は何の障害もないように”帳”を通過していた。それに続いて夏油、甚爾も入り込むことが出来ると証明された。一瞬呆気に取られたが五条はこの異変に思わず口角を釣り上げて一笑に伏す。

五条は通れず、歌姫・夏油・甚爾は通れる。この事実を元に思考を巡らせれば答えは一つしかない。つまり、


「成程」

「傑、甚爾、歌姫、お爺ちゃん、先行って。この”帳”」

「＿＿＿”五条悟”の侵入を拒む代わりに、その他”全ての者”が出入り可能な結界だ」

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