続 : ソノ恋依存性ニ注意セヨ。[時透無一郎]

依存性㊽ ページ23

無一郎side




任務へ行く数日前、Aと話をした。



⋯⋯


時『君は何で鬼殺隊に入ったの？』

A｢……昔、鬼に襲われたんです。
それで…っ、その時に弟を…失って…
その時の無念を晴らす為、ですかね…？｣

いつも明るいお馬鹿な兎みたいなのに
その眼からは憎しみと悲しみで溢れてる気がした。

時『そう。思い出させてごめんね』

僕がそう言うと

A｢？！霞柱様って人に謝れるんですね？！｣

と驚いていた。



時『僕の事何だと思ってるの？』


謝って損した気分。


A｢あはは、すみませんっ！
でも、鬼に襲われた時助けてくださったのは
霞柱様なんですよ｣


笑いながらそう言うAを見て少し罪悪感が生まれた。

A｢あ！今典型的な事考えました？！
もう少し早く着いていれば〜とか…
そんな事思わないで下さいね。
私の命は霞柱様に助けてもらいましたから｣


と真面目な顔して言うものだから


時『なら命の恩人に尽くしてね。
明日はふろふき大根で良いよ』


A｢昨日も食べましたけどね？！｣

とまた笑った。


時『任務が終わったら、たまには君の食べたい物を
買ってきてあげるよ』


A｢本当ですか？！ならお団子が良いです！｣


時『わかった。覚えてたらね』


A｢ふふ、難易度高そうですねっ｣


いつしか、Aがそうやってずっと
笑ってたら良いのに…なんて思う時がある。


A｢でも、霞柱様の記憶の霞もいつか晴れると
私は信じてます！｣


時『僕の記憶が戻って君に何か得する事があるの？』

“うーん”と考えながら

A｢あ！私の事を覚えててもらえますよ？
それに、これからの楽しい事や嬉しい事も
覚えてられます！｣

時『別に君には関係なさそうだけどね』

A｢辛辣……っ！！
笑った顔など、霞柱様の色んな表情みたいですよ｣


時『そんなものなの？』


“ですです”とAは微笑んだ。


……本当、変な人。



でも、僕と同じ様に思ってる事が
少しだけ嬉しかったりもした。





お団子、忘れないように買えたら良いのだけど。




笑ってくれる気がするし…。




A｢では、そろそろ任務へ行ってきます！｣

そう言ってAは立ち上がった。



時『うん、行ってらっしゃい』


僕がそう言うと、手を振って歩き出した。



無事に帰って来ますように…


じゃないと、ふろふき大根食べれないし。



そう理由を付け足す僕は変だろうか。

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