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重たい瞼をこじ開ける。私の部屋の天井が視界に映り、身体は今朝に比べると軽かった
それにしても、氷枕はまだ固いなあと思いながら寝返りを打つ。……しかし、私は勢いよく飛び起きた
天井の次は沖田さんの寝顔が視界いっぱいに映ったからだ。
固いのも氷枕なんかではない。彼の腕である。
咄嗟に眠りにつく前の記憶を引っ張り出そうとしたが、よく覚えていない。告白したところまでは覚えているのだ
そこから彼に抱き寄せられ、それで……
私は自分の身の回りを急いで確認する。
衣服、乱れてない。腰、痛くない。
純潔、おそらく護られてある。
よし、と指差し確認のようにしていれば、彼が私をジト目で見ているのが横目に映った
『誰がてめーなんかとヤ るかよトマト。
お前とヤ るくらいならゴリラと寝る』
ふん、と終いには鼻であしらわれ、彼は身体を起こす。
そのまま肩や首を回したりして軽いストレッチを始めた
『べ、別にそんなことしたとか……全然、絶対思ってませんから!!』
かぶりつくような私の発言に、彼は片方の口角を上げる。やれやれと言いたげに手を上に広げ、小さく首を振った
『素直に言いなせェ。変態が』
『違いますって、もう!!』
そう言っても彼は聞く耳持たずであり、馬鹿にしたような目を向けられてしまう
本当に子どもだと、胸の内で罵れば自然と口から笑みが零れた
彼はそれに不審そうな顔を見せるも、私は彼の方へ向くように座り直す
『沖田さん。私に……
幸せってなにか、教えてくれてありがとうございます』
やっと分かったこと。これは幸せなんだ。
好きな人の傍は、心地よい。
それを教えてくれたのは、紛れも無い、彼だ。
沖田さんはただ私を見つめていたかと思えば、畳に手をつき、近付いてくる
スローモーションに見えた景色は、一瞬にして彼いっぱいにさせた
唇に、柔い感触を残して。
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残りあと5話になりました……。寂しいです
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ミズキ - ハル(6/17)さん» そうだったんですか!私は基本ハッピーエンド派なんですが、このミスター・グルービーだけは例外に、切ない終わり方も良いな、と思えてしまうので、ハッピーエンドもメリーエンドもどちらも捨てがたいです・・・!ただ一つ言える事は、どっちでもこの作品大好きです! (2018年4月27日 15時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - ミズキさん» どちらにも取れるように書きました。読者の皆さんが、この二人の未来がこれからどうなったのか、そんな十人十色の妄想が生まれるように、あの一文だけ書きました。ミズキさんの思う未来の二人にしてあげてください( ´ ∀`) (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - ゆうかさん» うわ〜〜〜! 嬉しいです!! ありがとうございます( ´ ∀`) 私もこの作品にはとても思い入れがあるので、大好きだと言ってくださりありがとうございます。これからもゆうかさんが何度も読み返したくなるような作品を書いていきたいと思いますので、よろしくどうぞ。 (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - 質問なんですが、これずっと沖田は夢主の幸せの為手を引いて、夢主は呉服屋の跡取りと結婚したとばかり思っていたのですが、これもしかして夢主は沖田と結婚した可能性もあるんですか? (2018年4月27日 7時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 別のホームページでも今ハルさんの作品を読ませて頂いていますが、この作品が本当に大好きです。何回も読んでいるのに毎回最後は泣けてきて息が苦しくなります(笑)悲しくなるのにまた読みたくなるんです。素敵な作品をたくさんありがとうございます。 (2018年4月9日 2時) (レス) id: baf03f21d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年5月3日 15時