【銀魂】ミスター・グルービー〔沖田〕

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『あ、桂さん。少しお久しぶりですね』

『む？どうしてA殿がここにいる

食堂で働いていたではないか』

『あー……実はですね、』


そうか、お婆さんの言う長髪のお客さんとは、彼のことだったのか

彼は食堂に時々食べに来てくれていたお客さんである。そんな彼に、ここで働いている理由を手短に話した



『なるほど。それは大変だったな』

『まあ、ちょっとだけ……

でも、とても良い経験になりました』


真選組で料理を作っていたとは彼に言えないが、一人で多人数の食事を作るなんて、滅多に出来ない経験である

彼は私の淹れたお茶に息を吹きかけながらすすっているも、隣のエリザベスさんは湯呑みごと口に入れてしまった


彼の中身はどうなっているのか気になって裾を掴んだことがあるが、おっさんのような脛が見えたのは気のせいだと思いたい



『A殿、団子を何本か包んでくれないか？』

『分かりました。お土産かなにかですか？』

『そんなところだ。武士の風上にも置けない自堕落な甘党の家に行く用があってな』


そうですか、と笑いが零れる。おそらく万事屋の旦那の家だろう。彼らが知り合いなのは、食堂で偶然鉢合わせた時に知った。


お互い口々に嫌味を言い合い、結局は目の前で食事をする

本当は仲良しなはずなのに、それを恥ずかしがっている彼らが面白かった記憶がある


彼は私の考えなどに気付いていなく、姿勢良く二杯目のお茶を飲んだ

エリザベスは団子の串を口に入れてなにやら楊枝のように挟まった物を取っている



桂さんの分も一応含めて四人分の団子を包む。それを渡した刹那、桂さんを呼ぶ大きな声が響いた



『桂ァァァ！！！』


栗毛の彼は「あばよ」と呟き、桂さんに向かってバズーカをぶっ放す

私の口はあんぐりと大きく開かれ、彼らを交互に見るだけで声が出ない

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