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『えー、突然だけどAちゃんの代わりに食事を作ってくれることになった、苫野ミナコさんだ』
『Aの姉のミナコです。
気軽にミナコって呼んでください』
よろしく、と頭を下げる苫野姉。隊士たちの彼女を褒める話し声を聞き流し、近藤さんの掛け声で皆食べ始める
それぞれの席を周り、軽い挨拶と味の感想を聞き始めた
『どうですか?お味の方は』
『ああ、普通に美味い』
特に不味くもないため、正直な感想を述べると彼女は嬉しそうに微笑む。妹との面影と重なり、やはり姉妹だと再認識した
しかし、なぜいきなりここに来て妹と代わったのを俺は腑に落ちていない。
彼奴は自分の任された仕事はしっかりと最後までこなす性格だ。真っ直ぐで馬鹿正直なのはこの短期間で分かるくらいである
それを易々と姉に譲渡し、ロクな説明も俺たちに残していない。
『沖田さん、どうですか?』
今度は隣りにいる総悟に声をかけた。
総悟はよそってある米を一口食べて飲み込み、茶碗と箸を手にしたまま姉の方を見上げる
『アンタはまだあの妹と違ってマシな顔してやすね』
くくっと押し殺したように鼻で笑う
そればっかりだな、と俺も釣られて笑いそうになったが慌てて口を引き締めた
『……どうも、ありがとうございます』
気の所為だろうか、姉の顔が一瞬別人のように見えてしまう
凝らして見直すが、特に変わったところは見受けられなかった
『……でも、米は妹の方が美味ェや』
俺の箸が止まる。そういや、妹は総悟のために毎食柔らかめにしていたらしい
初っ端文句をつけた総悟には呆れたが、それを気にせず分かったと頷いて今の今まで手を加えていたことは総悟も分かっているのだろう
『お米なんて、誰が炊いても一緒ですよ?』
『……そーかもねィ』
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ミズキ - ハル(6/17)さん» そうだったんですか!私は基本ハッピーエンド派なんですが、このミスター・グルービーだけは例外に、切ない終わり方も良いな、と思えてしまうので、ハッピーエンドもメリーエンドもどちらも捨てがたいです・・・!ただ一つ言える事は、どっちでもこの作品大好きです! (2018年4月27日 15時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - ミズキさん» どちらにも取れるように書きました。読者の皆さんが、この二人の未来がこれからどうなったのか、そんな十人十色の妄想が生まれるように、あの一文だけ書きました。ミズキさんの思う未来の二人にしてあげてください( ´ ∀`) (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - ゆうかさん» うわ〜〜〜! 嬉しいです!! ありがとうございます( ´ ∀`) 私もこの作品にはとても思い入れがあるので、大好きだと言ってくださりありがとうございます。これからもゆうかさんが何度も読み返したくなるような作品を書いていきたいと思いますので、よろしくどうぞ。 (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - 質問なんですが、これずっと沖田は夢主の幸せの為手を引いて、夢主は呉服屋の跡取りと結婚したとばかり思っていたのですが、これもしかして夢主は沖田と結婚した可能性もあるんですか? (2018年4月27日 7時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 別のホームページでも今ハルさんの作品を読ませて頂いていますが、この作品が本当に大好きです。何回も読んでいるのに毎回最後は泣けてきて息が苦しくなります(笑)悲しくなるのにまた読みたくなるんです。素敵な作品をたくさんありがとうございます。 (2018年4月9日 2時) (レス) id: baf03f21d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年5月3日 15時