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挨拶時、姉の姿を探したが彼女は他の隊士と朝食の材料を買いに行っているらしい
1日目で誰かに頼めるなんて、やはり自分と違って社交的である。
もう彼らとは買い出しに出かけられないと思うと、どこか穴の空いたような喪失感が湧いてしまう
最初は天気の話や気温の話で場を繋げていたが、日が経つにつれ彼らとは冗談の一つも二つも言い合える間柄になれた
沖田さんの武勇伝を聞かされたり、近藤さんの恋愛話を聞いたり、どれもこれも飽きない話ばかりであった
家に帰り、近所のスーパーで譲ってもらった段ボールに運ぶ物を詰めていく。たったの二箱で収まってしまうくらい、私の家は寂れていた
良く言えば物欲がないのだが、私は自分が欲しいと感じても、おそらく自分には勿体無いと思ってしまうのだろう
綺麗な着物に、お洒落な小物。欲しくないと言えば嘘になるし、手に入れたいと言えば嘘になる
自分で分かっているのは、それを持っていたとしても可愛くなれるわけではないということだ
今日はどこかの宿に泊まっている姉だが、明日からはここを使うためシーツを綺麗にして畳んでおく
『沖田さん……』
彼の名前を呟いても、ここに居るわけでも来てくれるわけでもない。縋る声に、溜め息が混ざって落ちていく。
こんなにも誰かを焦がれるように呼んだことはない
こんなにも胸が締め付けられるくらい人を好いたことがない
だから彼は、他のどの誰よりも特別で、今を生きる私を形作る大事な一つである
恋に焦がれながら眠りにつくと、夢でさえも会いたいと貪欲になってしまった
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ミズキ - ハル(6/17)さん» そうだったんですか!私は基本ハッピーエンド派なんですが、このミスター・グルービーだけは例外に、切ない終わり方も良いな、と思えてしまうので、ハッピーエンドもメリーエンドもどちらも捨てがたいです・・・!ただ一つ言える事は、どっちでもこの作品大好きです! (2018年4月27日 15時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - ミズキさん» どちらにも取れるように書きました。読者の皆さんが、この二人の未来がこれからどうなったのか、そんな十人十色の妄想が生まれるように、あの一文だけ書きました。ミズキさんの思う未来の二人にしてあげてください( ´ ∀`) (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - ゆうかさん» うわ〜〜〜! 嬉しいです!! ありがとうございます( ´ ∀`) 私もこの作品にはとても思い入れがあるので、大好きだと言ってくださりありがとうございます。これからもゆうかさんが何度も読み返したくなるような作品を書いていきたいと思いますので、よろしくどうぞ。 (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - 質問なんですが、これずっと沖田は夢主の幸せの為手を引いて、夢主は呉服屋の跡取りと結婚したとばかり思っていたのですが、これもしかして夢主は沖田と結婚した可能性もあるんですか? (2018年4月27日 7時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 別のホームページでも今ハルさんの作品を読ませて頂いていますが、この作品が本当に大好きです。何回も読んでいるのに毎回最後は泣けてきて息が苦しくなります(笑)悲しくなるのにまた読みたくなるんです。素敵な作品をたくさんありがとうございます。 (2018年4月9日 2時) (レス) id: baf03f21d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年5月3日 15時