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『茶』
『私はお茶ではありません』
それでも彼の湯呑みにお茶を注ぐ。彼は先生みたいなことを言うなと顔をしかめたが、言葉が少々足らないのだ
『…ああ、そうそう、沖田さん
お米の固さ、いかがでしたか?』
『別に普通』
普通とは、いったい。沖田さんのご飯だけお湯を少し入れて電子レンジにかけたのだが、何も言わないということはアレで丁度いいのだろうか
『苫野さん、昼食も美味しかったよ』
『ありがとうございます、近藤さん』
君を雇って良かったと、快く笑う彼のおかげで気分が良い。しかし、その後ろから来た土方さんは私とは裏腹に仏頂面をしていた
『おい、総悟。何で俺のところに来ねェ』
『どうせアンタのところに行ったって、仕事押し付けられるだけでしょ』
「死ね、土方」と言っては呑気に茶をすする。青筋が浮かび上がりそうなくらい、怒りが込み上げてきている土方さんはテーブルの上に紙の束を叩きつけた
『まずこれは仕事じゃねェ。お前の始末書だ
真面目に仕事してりゃ会うことはねェ紙切れだよ』
『嫌だなあ、土方さん
土方さんだって書いてるじゃないですかィ』
人のことを棚に上げちゃいけませんぜ、とお茶のおかわりを要求してくる。土方さんの代わりにその手にお望みの熱いお茶をかけてやろうかと思ったが、彼は自分で沖田さんの頭に鉄槌を落とした
『お前のせいで書いてんだよ!
俺だって書かなくていいなら書いてねェ!』
『まあまあ、落ち着けよトシ』
苫野さんの前だぞ、と言い彼をなだめる。土方さんは私を横目に見ては聞こえるくらい大きな舌打ちをした。
沖田さんを再び睨め付け、煙草を口に咥えながら食堂を出て行く。沖田さんは湯呑みを空にしたその数分後、土方さんの置いた書類を持たずに去ろうとする
『沖田さん、忘れ物です』
『お前がやっとけ、トマト』
ちょっと待てと引き止めようと手を伸ばすが、彼がご馳走さんと言ってくれたため、私の動きが止まった。
素直に嬉しい。ちゃんと言える人だということが分かり、私の中の沖田さんのイメージは、少しプラスに傾いた
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ハル(プロフ) - ヤミーさん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いしますね! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - リタさん» ヤバイ人からコメント来ちゃったと思ったんですが、貴方でしたか笑笑 また書き始めてるなら教えてくださいね、鹿たん笑笑 コメントありがとう (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - pumpアミーゴさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ヤミー - 更新頑張ってください!応援してます♪ (2017年4月2日 19時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
リタ(プロフ) - 新作おめでとうございます!とっても面白いです!いつも陰ながらひっそり……陰ながらでもないけど、ひっそり応援させてもらっています。ハーちゅわん大好きです。これからも大好きです。笑笑更新頑張ってください((はぁと。笑 (2017年3月31日 14時) (レス) id: 5e2871c323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作成日時:2017年3月25日 11時