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『苫野さん』
冷蔵庫を開けたり、戸棚を開けて今ある道具や材料を確認する。買いたいものを書き留めていた中で、私を一人の男の人が呼んだ
沖田さんとは別の隊服を着ているところからして、一隊士なのだろう。誰かの使いかと思いどうしたのか聞けば、何でも土方さんに頼まれて買い出しに付き合ってくれるそうだ
『女の子一人じゃ重たくて持てないし、買い出しに行くときは誰かと一緒に行って欲しい
それか紙か何かに書いて頼むだけでもいいよ』
ちなみに前のおばちゃんは後者だと教えられ、さすがにそんな度胸は無いため共に行くことにする
先ほどまで書いていた紙と土方さんから託された食費を持つ。領収書は真選組の土方で切ってくれと言われていた
『俺は監察の山崎退。よろしくね』
『こちらこそよろしくお願いします!』
見つけた。近藤さん、土方さんに続く常識人。沖田さんに会った後だと余計に感激してしまう
飛びつくようにした握手に彼は引き気味であったが、私の勢いに負けたのか黙って手を握られていた
『苫野さん、前は大衆食堂だっけ?』
『はい。もう粉々ですけど』
自嘲気味に笑ってしまったのを気遣われ、山崎さんは苦笑いを浮かべる。しかし、私はここに来て不思議に思ったことがあるのだ
『沖田さんって、普段もあんな感じなんですか?』
『あんな感じって?』
『自由人と言えば聞こえはいいですが、…何て言うんでしょう?』
あまり彼を悪く言うのも気が引ける。彼らにとっては大事な仲間なのだろう。その人を悪く言われたら気分が悪い。山崎さんは分かってくれたのか、あー、と声を漏らし頬を掻いた
『そうだね、沖田隊長はあんな感じだよ』
…ほら、あんな感じだと濁しても、本気で嫌そうな顔を見せない。それは信頼関係から生まれているのか、はたまた私がまだ見ていないだけで良いところがあるのだろうか
だから先ほどの隊士の人も、嫌々沖田さんに従っているようには見えなかった。童顔だが、恐らく山崎さんの方が沖田さんよりも歳上なのだろう
それでも、彼に敬意を払って沖田隊長と呼んでいるから、私は不思議に感じてしまうのだ
『君も分かるよ、沖田隊長のこと』
覚悟しておいた方がいいかもね、と私を脅すのに山崎さんのその表情が柔らかいから、少しだけ沖田さんを見直した
本当に、少しだけ。
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ハル(プロフ) - ヤミーさん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いしますね! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - リタさん» ヤバイ人からコメント来ちゃったと思ったんですが、貴方でしたか笑笑 また書き始めてるなら教えてくださいね、鹿たん笑笑 コメントありがとう (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - pumpアミーゴさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ヤミー - 更新頑張ってください!応援してます♪ (2017年4月2日 19時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
リタ(プロフ) - 新作おめでとうございます!とっても面白いです!いつも陰ながらひっそり……陰ながらでもないけど、ひっそり応援させてもらっています。ハーちゅわん大好きです。これからも大好きです。笑笑更新頑張ってください((はぁと。笑 (2017年3月31日 14時) (レス) id: 5e2871c323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作成日時:2017年3月25日 11時