【銀魂】ミスター・クレイジー〔沖田〕

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『お、きた……さん』


一滴二滴と、彼の手から鮮明な血液が流れて行く。むせ返るような鉄の臭いと赤黒さに、思わず手を放して口元を覆った


力が抜けてその場に座り込めば、彼も膝を曲げる。「A」と私の名前を呼び、顔を上げさせられた


『お前はこんなモン持つな。……握んじゃねェよ』


小刀の刃先を持ち、私に柄を向けて揺らす。


託すように鞘を渡せば、彼は血を切るように軽く振ってからしまった。その手つきはやはり慣れており、住む世界が違うことを突きつけられる



『……いいか、A。よく聞け』


真っ直ぐに私へと放っていく言葉に恐る恐る目を合わせた。


彼の瞳が緋色に見える。

それはまるで、血で塗られた決意と覚悟と生命の鮮やかさが宿っているようだ


『この世にはなァ、おめーみたいなバカ真面目が信じられないくらいに汚れたことがあるんでィ

……でもその反面、お前の心みたいに綺麗なこともたくさんある。』


私の肩に置かれた手は大きくて温かい。私の固くなった身体をほぐすように、じんわりと解けていく


『全部が汚れちまったら、もうお終ェだ。だから、A。お前はそのままでいろよ

お前が汚れねェように、俺が護ってやらァ……』


『沖田、さん……』



初めて、誰かに護ると言われた。

初めて、誰かの前で涙を零した。


初めて、誰かを愛しいと思った__________

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