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『おい、トマト』
厠の帰り道の廊下で、再びおい、という声と共に肩を掴まれる。何事かと振り向けば、そこには口を尖らせた沖田さんが立っていた
『何でしょう?』
『さっきから呼んでるんでィ』
耳カス詰まってんじゃねーの、と言われるが、そんなことはないはずである。食事を作る身を清潔に保っているのだ
『もしかして、トマトって私のことですか?』
『当たり前だろ』
自分の苗字を忘れたのかとバカにされるが、私は断じてトマトではない
『苫野です』
『トマト』
『だーかーら!と、ま、の、です!』
これだけはっきり言えば分かるだろう。分からなければ沖田さんの方が耳にカスが詰まっている
しかし、またもや彼は私をトマトと呼んだ
『苫野ですよ』
『言いにくいんだよ』
『…なら、下の名前でいいです』
許可してあげましょうという上からが気に食わなかったのか、彼は頑なにトマトをやめない。子どもだなあと心の中でバカにして、仕方がないから先に折れてやった
『もういいです、トマトで…』
『なあ、苫野』
『言えるじゃないですか!』
大きな声を出しすぎて息が切れる。肩で呼吸をして落ち着かせながら、沖田さんの要件を聞くために耳を傾けた
彼は何かを考えているのか顎に手を添える。数秒の間の後に、彼は口を開いた
『タバスコ、切れたんで買って来てくれやすかィ?』
『タバスコですか?なんで…』
最後まで言い終わらない内に、沖田さんは他の隊士に呼ばれてしまう
『沖田隊長、副長が呼んでましたよ』
彼はさも嫌そうに顔を歪め、土方さんの部屋とは真逆の方へ身体を向ける。それを咎めたが、ひらりと手を振ってそのまま歩いていってしまった
隊士の人は困ったように眉尻を下げるが、いつものことらしく、肩を竦める。私に会釈をして土方さんの部屋へ向かっていった
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ハル(プロフ) - ヤミーさん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いしますね! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - リタさん» ヤバイ人からコメント来ちゃったと思ったんですが、貴方でしたか笑笑 また書き始めてるなら教えてくださいね、鹿たん笑笑 コメントありがとう (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - pumpアミーゴさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ヤミー - 更新頑張ってください!応援してます♪ (2017年4月2日 19時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
リタ(プロフ) - 新作おめでとうございます!とっても面白いです!いつも陰ながらひっそり……陰ながらでもないけど、ひっそり応援させてもらっています。ハーちゅわん大好きです。これからも大好きです。笑笑更新頑張ってください((はぁと。笑 (2017年3月31日 14時) (レス) id: 5e2871c323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作成日時:2017年3月25日 11時