【銀魂】ミスター・クレイジー〔沖田〕

38 ページ39

『土方さーん、トマト見やせんでしたかィ？』

『もう暗いから帰らせた。

夕飯はもう作ってもらってある』


どうせ今日も集まれねェから、食いたきゃ食えと総悟に顎で示した。

しかし、どうやら腹が減っているわけではないらしい


『今日の夜は一番隊と二番隊が見廻りだからな』


サボるなよ、と釘を刺してもいつもの文句が帰ってこない。どうしたのか顔を覗き込むが、何かを考えているようだ


『……あと、この事件に便乗して攘夷志士の動きが活発になってきている

それも注意して取り締まってくれ』

『……分かりやした』


ようやく発した言葉は、どこか上の空である。

心配事でもあるのか、顎に手を持っていった。そしてぶつぶつと何かを呟いている



『副長！』


バタバタと忙しない足音を立てながら山崎が近付く。どうしたと要件を急かせば、息を整えながら大変だと言った


『だから何が大変なんだよ』

『実は、実は、倉庫に置いておいた証拠品の一つの短刀が無くなってるんです！』

『あ？ンなの誰が持ってくんだよ』


よく探したのか、と聞いても山崎はキッパリと探しましたと言い切れない


ほれみろ、と思ったが、総悟がいきなりはっと顔を上げた。そのまま俺たちの横を駆け抜けていく


『おい！どこ行くんだ』

『土方さんも、ザキも探してくだせェ！

あのバカ、なんかやらかすつもりかもしれねェ！』


何を言っているのだと山崎と顔を合わせるが、総悟の焦り具合は異常である

あのバカ？………もしや


俺の脳内に一人の女が思い浮かぶ。山崎も同じ人物を浮かべたのか、総悟の後に続いて屯所を飛び出した

39→←37

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す