33 ページ34
『アイツは囮にすら使えねェよ。』
背にした襖から、彼の抑揚のない言葉が聞こえる。それが胸に突き刺さり、そこから冷たいモノが流れ出る気がした
その冷えたエキによって凍えていく心、そして身体も固まっていく
『可愛くねェ女を餌に釣れんのは、物好きな奴だけでさァ』
……分かってた。分かってるよ、自分が可愛くないことも、役に立たないことも全部。
彼らのためにできるのは食事を作ることだけで、それ以上もそれ以下もない。
でも改めてそれを突きつけられたら、自分の存在意義について考えてしまう。私は行き場を無くし、この場に立ち尽くすしかなかった
誰かが襖に近付く気配を感じ、草食動物が天敵を見つけたように素早く離れる。さっきまで固まっていた身体が嘘のように、実に機敏な行動であった
先ほど流れ出た冷たいモノと同じか分からないが、今私の頬を濡らしているのは、どんな涙なのだろう
悲しみ?怒り?……喜びでないのは確かだ。
彼は私のことを理解してくれていると思っていた自分がバカだった。イヤな奴、酷い奴…拙い拙い悪口ばかり零れていく。
涙が出るくらい感情が揺さぶられたのにも関わらず、嫌いになれないのは、沸いてはいけない情が吹き零れてしまったからだ
そのまま吹き出して火を消してくれたらいいのに、……なんてそんなことが簡単にできるのなら、初めから涙は流さない
自分のためにでもない涙を流すのは、心が締め付けられるくらい苦しかった
291人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハル(プロフ) - ヤミーさん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いしますね! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - リタさん» ヤバイ人からコメント来ちゃったと思ったんですが、貴方でしたか笑笑 また書き始めてるなら教えてくださいね、鹿たん笑笑 コメントありがとう (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - pumpアミーゴさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ヤミー - 更新頑張ってください!応援してます♪ (2017年4月2日 19時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
リタ(プロフ) - 新作おめでとうございます!とっても面白いです!いつも陰ながらひっそり……陰ながらでもないけど、ひっそり応援させてもらっています。ハーちゅわん大好きです。これからも大好きです。笑笑更新頑張ってください((はぁと。笑 (2017年3月31日 14時) (レス) id: 5e2871c323 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハル | 作成日時:2017年3月25日 11時