【銀魂】ミスター・クレイジー〔沖田〕

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『一番隊で何か収穫はあったか？』


総悟は肩を竦めて首を横に振る。どこの隊も同じ様な反応で、なかなか進展は見込めなかった

近藤さんは溜め息混じりに髪を掻き、頭を抱える。隊士たちがそれぞれ小言を話している中、１人の声が耳に入った


『囮捜査しかねーのかなァ…』


囮？狙われているのは女だぞ。それなのに男所帯のここで囮捜査なんて出来るわけ……

まさか、と１つの考えが浮かぶ。おい、と声を荒げようとしたが、その声をあの男に遮られた


『囮ってェのは、誰がやるんでィ

まさか、お前が女装するわけ無いよなァ』


どうなんだ、と隊士に注目が集まる。口籠るように開いては閉じるの繰り返しで、耳をすまさなければ聞こえないくらいの声量であの女の名前を口にした


周りの奴らも分かっていたのか、驚きもせずに俯く。総悟は畳に手をつきながら立ち上がり、淡々とした口調で話し始める



『アイツは囮にすら使えねェよ。

可愛くねェ女を餌に釣れんのは、物好きな奴だけでさァ』


鼻で一笑に付し、襖に手をかける。まだ終わってないぞと止めるべきなのだが、これ以上話しても何も変わらないのは目に見えていた


総悟の出ていく後ろ姿をただ目に映し、腕を組み直す。霧がかっていた胸の中に少しだけ暖かい柔らかな風が吹く

霧を晴らすようなことはなかったが、くくくと笑いが込み上げる


……なんだ、結構仲良くなってんじゃねェか

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