【銀魂】ミスター・クレイジー〔沖田〕

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壁にかかった時計を見て捲し立てるように私にお礼を述べ、急いで食堂を出ていく。その彼と入れ違いに、先ほどまで頭の中に居た彼が入ってきた


『茶』

『熱いのと冷たいの、どっちにしますか？』


ガラスコップと湯呑みを左右に持ち沖田さんに見せる。彼は「そっち」だと湯呑みの方を指差し、定位置に座った

弱いところを他人に見せない人だが、溜め息混じりに座ったため、おにぎりとお茶と一緒に甘い和菓子を置く


疲れた時は甘いものに限るというのは自論ではなく一般論だと思う。糖分は脳の働きを活性化させるため、少しでも事件解決に繋がればと家から羊羹を持ち込んだのだ

彼は羊羹を見て小馬鹿にしたように笑い、年寄りかと小言を漏らす。いつも通りの彼にホッと胸を撫で下ろし、私も「うるさいです」と何時ものごとく返した


それでも結局は食べるから、くつくつと笑いがこみ上げる。隠しきれずにバレてしまい、キッと睨まれた



『総悟、ちょっと来てくれ』


扉から顔を覗かせた近藤さんに手招きされ、のっそりと椅子から立ち上がる。その様子が森の熊さんみたいだと思ってしまったが、余りにも失礼なため頭の中で消し去った

彼が残した体温と空の食器を片付けて後を追うように扉を見つめる


寂しい…のかな。何だか心の一部が足りないように視線が足元へ落ちていく

私の影が電気の明かりによって白く霞み、そこに溜め息を零しては溶かしていった

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