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会議なのに、苫野さんまで居ることに違和感がある。彼女は今回の議題を知っているのか、どこか楽しそうに口元を上げ、俺たちを見回していた
局長が全員揃ったことを確認すると、咳払いを一つし話し始める
『真選組のイメージアップを謀るために炊き出しをしようと思う』
炊き出し、そう聞いて俺たちはいいんじゃないかと声を揃えて賛成した。顔を見合わせ、豚汁やら何丼やらと結局は自分たちが食べたいものを上げていく
どこかから「苫野さんのは美味しいんだろうなあ」といった声が聞こえ、彼女はそれに反応を示した
『皆さん。何か勘違いしているようなので言っておきますが、私は作りませんよ?』
彼女の発言により、局長や副長たちを除いた人は口をあんぐりと開ける。彼女は口をへの字に曲げ、膝の上に音を立てるように手を置いた
『皆さんが作らないと真選組が行ったことにならないじゃないですか!
確かに私は真選組に雇われていますが、市民のために闘う隊士ではなくその隊士を支える職分です』
確かに、と自然に頷いてしまうも、俺たちに市民に美味しく食べてもらえるような料理が作れるのか。もし作れていたらこうしておばちゃんや苫野さんを雇うことはなかっただろう
『もちろん私も手伝いますから、皆さん頑張りましょう!』
彼女なら野菜を切る前に包丁実習なんてものをやりかねない。何事にも全力で取り組もうとするから、俺たちは猫の手だの拳一個分身体を開けるなど教わるところから始まってしまう
さすがにそこまでやると業務に支障をきたすため、副長辺りが反対するだろう。しかし先日のM15(マヨネーズ15グラム)の件で、彼女は副長に意見を述べるのに物怖じしない子だと分かった
この間まで買い物に付き合ってもらうのを躊躇っていた子と同一人物だと思えないほどに、生き生きとしている。でも俺にとっては何だか喜ばしいことに思えてしまった。
『山崎さん、聞いてますか?』
『え?あ、ごめん…』
正直に謝ったのだが、彼女は呆れたように息を吐く
『ちゃんと聞いてください。いつまでも魔法使いでいてもらっちゃ困るんですよ』
なんで俺は、自分より一回りも二回りも歳下の女の子に貞操…いや、体裁を心配されなきゃいけないのだ
涙が滲んできたが、それさえも情けない。
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ハル(プロフ) - ヤミーさん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いしますね! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - リタさん» ヤバイ人からコメント来ちゃったと思ったんですが、貴方でしたか笑笑 また書き始めてるなら教えてくださいね、鹿たん笑笑 コメントありがとう (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - pumpアミーゴさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年4月4日 15時) (レス) id: 2c6d364f0d (このIDを非表示/違反報告)
ヤミー - 更新頑張ってください!応援してます♪ (2017年4月2日 19時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
リタ(プロフ) - 新作おめでとうございます!とっても面白いです!いつも陰ながらひっそり……陰ながらでもないけど、ひっそり応援させてもらっています。ハーちゅわん大好きです。これからも大好きです。笑笑更新頑張ってください((はぁと。笑 (2017年3月31日 14時) (レス) id: 5e2871c323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作成日時:2017年3月25日 11時