【銀魂】ミスター・クレイジー〔沖田〕

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『おい、総悟

お前アイツに仕事押し付けただろ』

『アイツって誰ですかィ』


直ぐに誰かも分からぬほど、コイツは誰かに押し付けてるわけだ。本当にアイツの爪の垢を煎じて飲ましてやりたい


『苫野だよ。苫野A』

『ああ、トマトね』


トマト、と聞き返してもそれ以上何も言わない。単なる俺の聞き違いだろうか


いや、今はそんなことどうでも良い。問題なのは隊士でもない苫野に仕事を任せたことだ。再び任せてみろ、業務外だと指摘され、給金に味を付け足されたらどうする。

俺はアイツのことを、以外と目敏い女だと認識していた。…しかし、その分総悟の給料から引けば、仕事は片付くし金はプラスマイナスゼロ。そっちの方が好都合な気がしてならない


『まさか本当にやってくれるとは思ってやせんでした』

これを機に、アイツを俺の小姓にしやせんか


『本来ならお前一人でこなせない程の仕事はねェよ。増やしてんのはてめェのせいだ』

雇いたかったら自分で金払え


『融通の利かない男ですねィ。その内ハゲやすよ。』


一言余計だと返し、煙草を咥える。あからさまに嫌そうな顔をしたが、罰だと思わせるように深く白煙を吐いた

それを扇のように開いた手で搔き消して、先程よりも害虫を見るような目で見られる。ムカつくが、願ったり叶ったりだ


『それも、その内トマト女に怒られやすぜ』


マヨネーズで叱られたばかりでしょう、と俺を小馬鹿にしたように笑う。確かに俺もそう思ったが、あの女は予想に反することを述べた

それは大衆食堂で喫煙可能だったからなのか、はたまた禁煙は専門外だからか…


『いや、煙草は良いそうだ。

意味分かんねェが、アイツがこだわってんのは食だけだとよ』

『何ですかィ、せっかく屯所の空気が綺麗になると思ったのに

土方もろとも消えてくんねェかなァ』


うるせェ、と煙草の火を消し、本来の目的である書類を総悟に押し付ける。受け取りたくないようで手を出さず、しばらくは睨み合いの攻防が続く

…先に折れたのは情けないが俺で、結局はずっとそうしているより自分でやる方が早いと感じてしまった

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