【Ｈ×H】長月のセレナーデ【幻影旅団】 (ページ24)

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第二十二夜　勝負の行方ページ24

「ははっ、Aは素直だねー」
　そんなAの様子を見てシャルナークが笑う。
「このままだと、勝敗は明白だな」
「な、そんなことないわよっ。私にだって勝ち目は…」
「どうだろうね」
　鼻で笑うクロロにAは唇を噛み締める。一番先に上がったからって、この人は調子に乗りすぎだ。しかしここで自分がビリにでもなってしまったら…。

　イチ抜けのクロロの言うことを、朝が来るまで聞いていないといけないのだ。一番上がってはいけない人が先に上がってしまった。一体何を命令されるのだろうか。何となくだが、クロロには、絶対逆らってはいけないような気がした。あぁ、神様、どうかこの腹の中まで黒そうなこの男にだけは命令されたくありません…。どうか、勝てますように…。

「ははっ、やっぱりAがドベだ」
　シャルナークが笑う。Aは握り締めていた二枚のトランプを手から落とした。
「そ、そんな…」
　あぁ、結局、負けてしまうだなんて。神様は意地悪だ。
「気の毒だな、団長の下僕てのは」
　フランクリンが同情の目を向ける。
「下僕じゃないよ、ド、レ、イ」
　にひっ、とシャルナークは悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「どっちにしろ同じだよっ」
「っち、やっぱりAの負けか」
「サンキュー、ウヴォー。じゃ、約束通り、これは頂いて…」
　べち、とウヴォーが札束のようなものを地面に投げ付け、それをシャルナークがかっ攫っていく。
「っちょ、私で賭けてたのね！？」
「Aが負ける以外選択肢ないもんね。ウヴォーったら、オレはアイツに賭けるとか言って聞かないし。絶対いけると思ってさ」
「Aに対する信頼は並大抵のモンじゃねえなお前は」
　はは、とノブナガは笑う。
「るせーよ、オレは賭けたい方に賭けた。悔いはねえ。男に二言もねーよ」
　そう言って、ウヴォーは立ち上がる。
「それよりもさっさとしねーと団長、朝来んじゃねーの」
　去り際にウヴォーギンは小さく呟いた。団員たちの様子を黙ってじっと眺めていたクロロは頷く。
「あぁ、そうだな」
　そんなクロロの返事に、うっ、と顔をしかめるA。
「さてと。約束は約束だ。あんたが消えるまで、オレの言うことを聞いてもらうからな」
　笑みを浮かべることさえせず、が、少しだけ楽しげな表情を見せるクロロ。あぁ、終わった、と一人項垂れるAであった。