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最後の中総体の決勝…フルセットマッチ。
俺は2セット目の序盤で下げられてからの記憶がない。
ただ、スタンドで見ていた父が失望したような顔で立ち去った姿しか…。
『…嘘やんか。』
全部全部、嘘だった。
努力は絶対裏切らないとか、全部…。
呆然と俺は無心で自分の荷物をまとめた。
ジャージを羽織る、カバンを肩にかける。
『譲羽、ざまあみろやなぁ(笑)。』
『あの顔(笑)、傑作やったわぁ。』
_『…………。』
陰から、この会話を聞いていた。
別に何も感じなかった。
悔しいとか、悲しいとか、腹立たしいとか。
学校に帰ってから、家にはすぐ帰宅せず病院に行った。
母親が入院中だからだ。
別に用事は無いが。
『Aは、バレーボール…楽しい?』
寝ていると思っていた母がそう聞いた。
楽しいわけない。
でも、すぐに答えられず…俺は病室を出た。
その晩、母が死んだ。
『…。』
家に帰っても、父は何も言わなかった。
というか、俺の事を見ていなかった。
それから約半年後、俺は県内一の強豪…稲荷崎の入試を受けた。
結果は不合格…まぁ、一文字も書かなかったから無理もない。
私立も県立も落ちた俺は行く当てがなくなった。
仕方なく編入試験を受け、烏野に入った。
________
「って感じだな。」
「…。」
「別に俺は気にしてねぇよ。運命はどう足搔いたって変わんねぇし。」
「…で、その膝は。」
「これは無理してた時、靭帯を壊したやつだ。今でも過度な運動をするとこうなる。」
「俺、お前の事情も知らず…無理矢理…………。」
「いーって!これは俺の選択だ。どうせ壊れんなら”大好きな場所”で壊れろってな(笑)。」
そうだ、俺は好きなんだ。
バレーボールが…この場所が。
「気ぃなんか遣いやがったらぶっ飛ばすからな。」
「…分かった。」
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蒼穹のサブ - ありがとうございます!頑張ります!! (4月8日 15時) (レス) id: 3240649a16 (このIDを非表示/違反報告)
とむ - めっちゃ好き!更新がんば!!!! (4月1日 19時) (レス) @page16 id: 2262dfa315 (このIDを非表示/違反報告)
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