検索窓
今日:30 hit、昨日:11 hit、合計:22,696 hit

05 ページ5

一際大きな声が聞こえて、その鋭さに一瞬思考も身体も固まって。
言い合いしてたうちの男が、女の肩を掴んで、そのまま襲いかかりそうなのを見て、息を飲んだ。





ぜんっぜん痴話喧嘩じゃねぇじゃん。

おそらく、ナンパか痴漢か。
状況把握もできてないし、おそらく、の結論も出てないけど、気づいた時には走ってた。



俺より近い場所にリーマンもいたけど、気づいてる俺が走る方が早いに決まってる。



道路を横切って、男女に近づけば、これが痴話喧嘩なんかじゃないことは一目でわかる。
それほどまでに、男は狂気じみてたし、女は恐怖に震えてた。



イラつきは募る一方だった。
半ば力任せに男を振り向かせれば、何とも間抜けな声を出す。



突然現れた俺に、拍子抜けしたような顔見せてんじゃねぇよ。
こんな人目につくところでんなことやってりゃ、そんくらい予想できんだろ。




そのまま女の肩を掴んでる男の手を掴んで、振り払って、それから男を絞め上げて。






「イテテテテテテ!!!」

「…は?」






そうするはずだった。

いや、まぁ実際にそうなったんだけど。





目の前には、手を振り払われて、そのまま絞め上げられて、コンクリで情けなくうめいてる男。



まさに俺の思い描いた通りの光景。

ただ一点を除いて。






「いってぇ、離せって!!」

『どの口が言ってるんだか。
警察来るまでこのままに決まってるでしょ』

「…ウソっしょ」






男を絞め上げたのは、俺でも、さっき見た通りすがりのリーマンでもない。

さっきまで震えていた女が、地面に転がった男の上に乗っかってる。



何が起こったのか、なんて明白だけど。
理解できるけど、理解したくないような。

スマホを取り出して警察に連絡するその女を眺めながら、その場に立ちつくすことしかできなかった。




コイツが男絞め上げたのとか、何かすげー強いのとか、ちょっと引くくらい慣れてんのとか、全部、全部衝撃的だったけど。

でもやっぱり一番はこれだった。






「…気、強いにもほどがあんでしょ」






女は、例の、茂庭さんとこの看護師だった。

06→←04



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (102 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
219人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 二口堅治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さな(プロフ) - 柴田んぬさん» 柴田んぬさん、ありがとうございます!楽しんでいただけるように頑張ります! (2023年1月22日 22時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
柴田んぬ - このお話すごく好きです!応援しています^^ (2023年1月22日 16時) (レス) @page5 id: 8796ade977 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さな | 作成日時:2023年1月20日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。