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『じゃあ茂庭さん、遠慮せずにいつでもお声かけてくださいね』
「………やっぱり綺麗だよなぁ」
「優しいし、美しい……」
看護師が会釈とともに去っていく。
それを恍惚とした表情で見送る先輩達に、つい冷たい視線を送ってしまう。
今しがた出ていった彼女は、いわゆる茂庭さんの担当看護師、というやつで、入院の事務手続き云々をはじめ顔を合わせる機会が多いらしい。
綺麗な顔立ちと控え目なメイク。
一般に美人と言われる部類なんだと思う。
まぁ異論はない。
けど。
「つーか先輩、そんなこと言ってる場合じゃないっすよね」
「え?」
「その足、早く治してくださいよ」
ちょっとしたイラつきに任せて、ベッドの上に放り出されている足を突けば、イテッとわざとらしい声。
んな大袈裟な。
「おい二口!茂庭は病人なんだぞ!」
「そうだぞ、さすがの茂庭も今のは許しがたいはずだ!」
「いや、まぁ俺は別に」
「病人っつったってピンピンしてますよ。
茂庭さんが入院したっつーから来てみりゃ、ただの骨折じゃないすか」
茂庭さんを囲って鎌先さん、笹谷さんで繰り広げられる茶番。眉根が寄るのが自分でもわかった。
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さな(プロフ) - 柴田んぬさん» 柴田んぬさん、ありがとうございます!楽しんでいただけるように頑張ります! (2023年1月22日 22時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
柴田んぬ - このお話すごく好きです!応援しています^^ (2023年1月22日 16時) (レス) @page5 id: 8796ade977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2023年1月20日 18時