大事なひと【木兎光太郎】【赤葦京治】

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光くんのこういうところが、大好きだ。



自分を、わたしを、疑わないところ。
どんな時もストレートに伝えてくれるところ。

気持ちを隠さないところ。



自信たっぷりに差し出された小指に
自分の小指を絡めると、
やっぱり痛いくらいにブンと振られる。






「すんげーの、見せてやる」






そう言った光くんは
もうわたしなんか見ていなかった。

きっと、見ているのは、先の勝利と快感だけ。



それが寂しいなんて思った頃もあったけど、
今はもう思わない。



いつも、どんな時でも先を見てる。

そんな光くんが、好きだから。






『ね、光くん』

「ん？」

『わたし、光くんがこうやって気持ちを隠さずに伝えてくれるとこ、すっごい好きだよ』

「、は」

『すごいなっていつも思うの』






どれも自分にはないものだから。

キラキラした目で、先を目指して走ることも。
何かにひたむきになることも。



なにより。

隠すことに精一杯になってるわたしにとって、
やっぱり光くんは眩しくてかっこいい。


恋愛として好き、だなんて言えないけど、
これくらいの”好き”なら許されるかな、なんて。




でも、どうせなら。
少しくらいわたしを気にしてくれたら。



そんな不純な気持ちを押し殺して、
笑顔で光くんに向き直る。






『試合、楽しみにしてるね！』

「…おう！」






大きく口を開けて、眩しいほどの笑顔。
その笑顔が見られるなら、なんだって出来る気がした。

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