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よく晴れた土曜日。
梟谷学園内でも朝から部活に励む生徒の声が響いている。


それは、ここ、体育館でも同じだった。






「いっぽーん」

「ナイッサー」

「おい、声出てねぇぞー」

「ウィース!!」






繰り返されるかけ声。溢れる熱気。

そんな場所で一人立ちつくす、
わたしはどう見ても場違いだった。






「どうよ、うちの学校の連中は」

『どう、と言われましても…』

「おたくに負けないと思うんだけどね」

『それは、そう、ですね』






隣からの異様なまでの圧を感じて
思わずたどたどしくなる会話。


それにニヤニヤと反応しながら、
赤いジャージに身を包んだ彼は主将だとか。






「つーか、こんなとこいていいの」

『あ、わたしマネージャーじゃないので…』

「まじ?え、じゃあ何でいんの?」

『えっと…それは』






長い前髪のせいで片方しか見えていないであろう切れ長の目が大きく開かれる。



黒尾さん。
光くん曰く、トサカのクローさん。




聞いてた時にはトサカの意味はよくわからなかったけど、その姿を見た瞬間にすべてを理解した。



音駒高校。

守備を得意とする、
粘りと安定のプレーが特徴の学校で、
黒尾さんはその主将。


激戦を戦い抜いてきたのであろう黒尾さんは、
その見た目のインパクトと違わず
なかなかにクセのある人で。


掴みどころのない貼り付いた笑顔と
すべてを見透かしたような目線にどきりとする。




そんな黒尾さんに何て答えるべきか、
頭をフル稼働させた時だった。


大きく、聞きなじみのある
大好きな声が体育館に響き渡る。






「小見やん!ナイスレシーブ!!
木葉、俺にちょー、っだい!」

「木兎!」

「ヘイヘイ、ヘーイ!!」






もはや何の意味があるのかわからないかけ声とともに、鋭く打ち下ろされるスパイク。


目を奪われる派手なそのプレイと、
嬉しそうにハイタッチをかわす光くんに思わず頬が緩む。



横にいる、彼を忘れて。






「ふーん、そーゆーコト」

『え!あ、いや、何を…』

「ハイハイ、隠さなくていいって。
今のでだいたいわかったし〜?」

『わ、わかった、って…』






気づいた時にはもう遅く。


ニヤニヤと目を細めた黒尾さんは
それはそれは楽しそうにわたしを見ていた。

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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます!励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2022年11月30日 21時

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