君には笑顔がよく似合う【鬼滅の刃】 (ページ29)

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大正コソコソ噂話④ ページ29

ライラ

「それで、相談事って一体何なんですか」

俺が呼び出した事に少し不満げな口調だが笑顔の耐えない目の前の同僚は小柄な女性ながら仕事の出来る美人キャリアウーマンだと他部署からの人気が凄まじい。

「時間をとってすまないな、胡蝶」

いいえと言いながら対面の椅子に座った胡蝶に先程買ったブラックの缶コーヒーを差し出す。カシュッと清々しい音がした。その音を皮切りに俺は相談事を切り出した。

「なるほど、好きな人へのプレゼントですか、・・・それなら私お勧めのお店があるんです。今度の休日でいいですか？」

＊＊

駅で集合し、少し歩いたところで雑貨屋に入った。

何がいいかと唸っていると身に着けるものはどうかと胡蝶が助言をくれた。指輪、イヤリング、と見て次のコーナーで視線が止まる。

赤のような、しかし光の加減でオレンジにも見える小ぶりな石が付いたシンプルなネックレス。自分の色の物をあげるなんてキザだろうか。しかしこれを着けているAを見てみたくて購入する事にした。

「胡蝶、今日はありがとう！礼も込めて何か奢らせてくれ」

なら駅前のカフェでという事になり、石畳を歩く。石畳の終わり、コンクリートとの境目の少し出っ張った石に躓きかけ、胡蝶がくすりと笑った。

「おい、胡蝶も足元だけじゃなく前も見ないと危ないぞ」

そう言ってすぐ隣で音がした。胡蝶がよろめき、もう一人の胡蝶とぶつかったであろう女性は尻餅を付いて俯いていた。

「あ、すみません！ぶつかっちゃって・・・大丈夫でしたか？」

「おいおい、だから前を見ろと言っただろう」

「そういう貴方だってさっき躓きかけていたじゃないですか。・・・すみません。立てますか？」

顔を上げた女性と目が合う。驚いた。何故ここにAがいるのだと。しかし周りを見れば見知った景色。確か近くにAの家があった筈だ。

「・・・杏寿郎」

「・・・偶然だな」

「そうだね・・・それじゃあ」

そう言ってAは足早に俺の横を通り過ぎた。隣からため息が聞こえた。

「例の？」

「ああ」

「これ以上誤解されたら可哀想なので、奢りは遠慮しておきますね」

今度、きちんと話さなくては。しかし、誕生日までこのことは言えない。どうしたものかと頭を抱えた。

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