5話: 日夜琥珀 ページ7
先ほどまで熱読していたホラー小説を閉じ、教室の扉へ目を向けた。
ぞろぞろと話しながら教室に入ってくるクラスメイトたちの姿が目に映る。
…どうやら、やっと何人かが登校してきたみたい。
今日はどうも早く到着し過ぎたらしく、教室に入ったらもぬけの殻だった。
あまりに時間が余っていたので、読んでいる途中の小説を読んでいたけど…あまり面白くないわ。
やっぱり、少しくらい人の声や音_BGMが無いと集中できないものなのかしら…?
これがカフェで勉強する人が多い理由ね。やっと理解できたわ。
妙に納得してしまった。
そっと本を机にしまっていると、聞き覚えのある可愛らしい声が耳に飛び込んできた。
「こは!今日の運勢占ってよ!」
__友達のマリちゃん。
お人形さんみたいに愛らしい顔に笑みをたたえて私にそう声を掛けてきた。
“占い”は私の唯一誇れるもの。
…今日はいつもと一味変えて、トランプで占ってみようかしら。
「ええ、勿論よマリちゃん。…今日はトランプ占いに挑戦してみるわ。…初めてだからあまり期待はできないけど…」
…トランプに関してはうろ覚え。
確か、カードをシャッフルして左上から表向きに4枚×4段に並べて……何枚か引いて、マークが合計15になる組みを作るんだったっけ…?
取り敢えずトランプを4枚×4段にザッと並べてみる。
「あら…?大変、一枚足りないわ…いいえ、一枚どころじゃあ無いわね…何枚か足りないわ」
これは困ったわね…予想外のトラブルよ。
「じょ、ジョーカーは抜くんだったかしら…?ええと、これはこっちだった気がする…いや、こっちだったかしら…」
マリちゃんはプルプルと笑いをこらえ、震えながら私の様を見ていた。
……こんなに恥ずかしいところをマリちゃんに見られてしまうなんて…!
「うう…ご、ごめんなさい。私ったら……慣れないことはするべきではないわね…」
「いやいや!大丈夫だよこは!!」
マリちゃんは可愛らしくふふっと笑ってそう言ってくれた。
…寧ろ、マリちゃんが笑ってくれて良かったのかもしれないわね…。
…まあ“ 終わりよければ全て良し”なのよ!
10人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なるせ(プロフ) - 更新終わりました! (2019年5月6日 16時) (レス) id: af1a978d4d (このIDを非表示/違反報告)
なるせ(プロフ) - 更新します! (2019年5月6日 15時) (レス) id: af1a978d4d (このIDを非表示/違反報告)
櫛鉈(サブタブ) - 更新終わりました (2019年5月5日 22時) (レス) id: 045ecd0b94 (このIDを非表示/違反報告)
櫛鉈(サブタブ) - 更新します! (2019年5月5日 21時) (レス) id: 045ecd0b94 (このIDを非表示/違反報告)
京将(プロフ) - 更新しました。ギャグ要素が抜けてしまった…! (2019年5月2日 15時) (レス) id: 8bab4445ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ