4話: 藤壺雫 ページ6
キーンコーンカーンコーン−
妙に間延びしたチャイムの音が校舎に響き渡る。
「おっ、いっけね…始まっちまった…」
一回ちっと舌打ちしてから、俺は少し歩くスピードを速める。
今朝も寝不足だ。まあ自業自得なんだけども。
昨日は日付が変わるまで近くの街中で女子をナンパしていた。
わりと可愛い女の子がいっぱいいいたからしょうがない。まあ俺の柊には負けるが(じゃあなんでやった)。ちなみに一緒に来ていた涼は九時くらいで普通に帰った。俺もそうしときゃ良かったのか。
一年生の教室の前を通りかかった。
出来るだけ足音を立てずに全速力で駆け抜けたが、扉の窓から柊と視線が合った。
(ヤベッ…)
これは今日も休み時間説教かな。ここまでバッチリ目撃されてしまっていたら、もう言い逃れができない。
でもいいや。説教されたあとモフモフさせてもらおう…うへへ。
そんなことを考えながら歩いていると、いつのまにか自分の教室の前に着いていた。
ドアを開けて中に入る。
「すいません、寝坊しました」
正直にそう言うと、教師に「またか」と出席簿で頭を叩かれた(俺の方が背が高いので、若干背伸びしてだったが)。痛い。というかクラスメイトの視線も痛い。
「すいません」と謝りつつ席に座る。まだHRの途中で良かった。
というかこの机、いつも思うんだが小さすぎて座れない。まあ始業式の日も寝坊して余りのしか無かったからなので仕方ないんだが。
急いで荷物を片付ける。次の授業遅れたら流石にやばい。
と、携帯がブルブル、と振動した。
「んっ!?」
思わず声が出てしまう。
一斉にクラス全体が振り返った。「なんでもない」と引き攣った作り笑いを浮かべて誤魔化す。
背が高くて良かった。いつも後ろの席なのは好都合だ。
(誰だよ…)
携帯のメールボックスを見ると、そこには「春田柊」の文字が。
あんの馬鹿…!なぜ休み時間じゃなくて今!
『雫先輩へ
なんで今日も遅れて来たんですか!まぁた女の子を遅くまでナンパしてたんじゃないでしょうね!
次の休み時間に教室に行くので、ちゃんと説明してもらいますよ!』
こいつ、次の授業まで五分しかないのに来るのか…
まあいいや。いざとなったら俺がお姫様抱っこして運ぼ…
そうして俺はまた、柊で頭がいっぱいで大事なことを聞き逃すのだった。
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なるせ(プロフ) - 更新終わりました! (2019年5月6日 16時) (レス) id: af1a978d4d (このIDを非表示/違反報告)
なるせ(プロフ) - 更新します! (2019年5月6日 15時) (レス) id: af1a978d4d (このIDを非表示/違反報告)
櫛鉈(サブタブ) - 更新終わりました (2019年5月5日 22時) (レス) id: 045ecd0b94 (このIDを非表示/違反報告)
櫛鉈(サブタブ) - 更新します! (2019年5月5日 21時) (レス) id: 045ecd0b94 (このIDを非表示/違反報告)
京将(プロフ) - 更新しました。ギャグ要素が抜けてしまった…! (2019年5月2日 15時) (レス) id: 8bab4445ef (このIDを非表示/違反報告)
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