拝啓、愛する人へ【まふまふ】

怪異 ページ6

「そう言えば最近さ やけに外の世界が物騒なんだよね」

『そうなんですか？』


さっきの梅でおにぎりを女官さんが握ってくれたので

お茶を飲みつつ96猫さんとお話


「そうそう 怪異とかがわんさか溢れてるんだ」

『怪異…ですか』

「今日外に出たとか言ってたけど大丈夫？」

『天月がついてくれてたので』

「まふもまふで応急処置すぎるなぁ…
でも そろそろ天月じゃ勝てなくなるだろうな」

『怪異にですか？』

「そうだよ 怪異が異常に力をつけすぎている

それを調査したいんだけど…
生憎 創造主様が出禁命令を出してるからできないんだ」

『創造主？』

「んとね 神様の一番偉い人
何もない空間に自分で生まれた人だよ

その人が全神様を地上に出禁にしちゃったんだ」

『こんな状況なのに？』

「あの人は全てを見透かしてるから
放っておいた方がいいのかもしれないって皆言ってる

もちろん私もそれに賛成する
あの人がしたことは今の今まで全部正しいことだったからね」


ずずっと音を立て

お茶をすする96猫さん


『正しいこと…』


あの日 紀之介の怨念が消された日

夢を見た


どこかの個室で

一人の少女が泣いているのを


朝が怖いと泣いていた子だ

私がナイフを刺してしまった子だ


その子は泣いていたが

笑っていた


怒ってもいた

嫉妬して落ち着いていた



感情までもがぐちゃぐちゃだった




そんな夢を

私は見た






「あ このおにぎりめっちゃうまい
梅がすごいものだからかな」

『本当ですね』


世間話や愚痴をしながら

96猫さんと二人でおにぎりを頬張っていた



おにぎりはなんとも言えないほど美味しかった

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