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三十八話 ページ40

「なかなかやるね」

『無一郎さんも、手加減してくださいよ…』


木刀を合わせ始めて早一時間。

私は兄に一刀も打てずにいた。私は二回くらいくらった。


「まだやるよね」

『もちろんです』


再び木刀がぶつかる。この木刀も壊れに壊れて七本目である。それに備えて一人十本用意した兄も準備が良い。しかしもう少し硬い木刀があればいいのだが。


『むう、ふっ!』


踏み込んで下から振り上げるも体を反らして躱される。反らした勢いで一回転、宙返りの後に隙もなく突っ込んでくる兄を木刀を両手で支えて受ければ、ミシッとヒビの入る音がした。


『あ、また壊れ…』

「折れるまで」


容赦なく斬撃を浴びせてくる。ならばこちらからも仕掛けなければならない。一歩で距離を詰める。


『肆ノ型、蜃気楼』


肆ノ型は一番早い。とにかく早く、横に振り抜く。真剣でやると空気の斬撃ができるので遠距離攻撃が出来たりする。

この手合わせで打つのは二度目だが一度目は兄に当たっていない。


「あ…ぶな」


すんでのところで飛び上がって避けた兄にまた技を放つ。


『陸ノ型、有為突き!』

「壱ノ型、垂天遠霞」


渾身の突きだったが、同じ突き技で少し下に軌道を逸らされた。

兄の下方に伸ばされた木刀。その先端に兄は静かに足をつけた。


「突きはもう少し上」


む、木刀に乗られている。振り上げると兄はまた宙返りして少し遠くに着地した。


「もう少し上だったらいなせない」


まあそしたら正面から別の技でうけるけど、と言われたと同時に互いの木刀が砕けた。


『ためになります』

「…あと三本。はやいな」

『刀鍛冶の誰かに屈強な木刀でも依頼してみますかね』

「別にいい、これで」


木刀の屑を放り投げて、新しいのを手にする。


「次は五十本持ってくるから」

『多すぎです』


計百本担いで歩く兄を想像する。なかなか滑稽ではないか。やめた方がいいと思う。



静寂が流れ、目をあわせる。


風が吹いて、それを合図に互いに足を踏み切った。

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シャンプー(プロフ) - ゆーさんさん» 不快に思われたのなら申し訳ありません。注意書きを付け足しておこうと思います。 (2019年8月9日 12時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーさん(プロフ) - あくまで二次創作ですので、時透母についてはこういう人なのだというような感想を持たないようにお願いします。 (2019年8月8日 17時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - にこちゃんさん» ありがとうございますー!!!私も時透くん推しです!!じわじわ書き進めておりますのでまったりお待ちくださいませ…!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
にこちゃん - 私、推しが時透君なので嬉しいです!更新待ってます!応援しています!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!時透くんかっこかわいいですよね!頑張ります…!! (2019年7月22日 17時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シャンプー | 作成日時:2019年7月22日 1時

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