三十七話 ページ39
『いだだだだだ』
なほちゃんが容赦なく背後から手を引く。私は体をそらせて痛みに耐えていた。
「もう少しで終わりますから!」
訛ったからだをなほちゃんにほぐしてもらっているのである。傷も治り抜糸もしたので、あとは動く感覚を取り戻すだけだ。
煉獄さんの元には行ってみた。あれからかなり時間が経ったものの、未だ目を覚まさない。沢山の包帯や点滴が痛ましい。目をつぶって微動だにしなかったけれど、手は暖かかった。また涙が溢れてきたけど…私は泣いてなどない。泣いてない。
『あ゙ッ…!』
「わーーっ!!すすすすみません!!関節が!!」
『だ…大丈夫です…』
炭治郎さんたちと同じ力加減でやってしまったと半泣きになりながら謝ってくる。戻す時も痛かった。
あとは楽しいカナヲさんとの追いかけっこだ。カナヲさんも全力で逃げ回るので苦労するが、私の方が一枚上手なのだ。これでも柱。
『よし、と』
手を思い切り握って、開く。じんじんする。
うん、刀が握れる。久しぶりの隊服。鍛えすぎたせいか(まだ足りないとは思うが)、身長はあまり伸びてくれないが、小さいと小回りが利く。それが私の利点でもある。
胡蝶さんやカナヲさん、アオイさん、なほちゃんきよちゃんすみちゃんに深々と頭を下げて、同室だったほか三人に挨拶をして屋敷を出る。ギリギリまで我妻さんはもう行っちゃうの!と喚いていた。
次の任務までは間があるが、いてもたってもいられないので自分の屋敷へと駆け出した。
「来た」
『む、無一郎さん??』
屋敷につくと、兄が部屋のど真ん中に鎮座していた。
「死にそうって聞いてたけど元気だね」
『ちゃんと回復させてきたので…』
「話し相手いなくなると困るし」
…非常に申し訳ないが、友達が居ないん…
……かくいう私もほとんどいなかった。柱の皆さんは友達と呼ぶには恐れ多すぎるし。
『…で、何でここにいるんですか?』
私は鍛錬をしに帰ってきたのだが。またふわふわのお話だろうか?今は体を動かしたくて仕方ないのに。
首を傾げて見ていると、ずいと木刀を差し出してきた。
「手合わせ。」
…手合わせ。手合わせ!兄と…柱と手合わせができる!
きっとそのとき私は喜びにみちた表情をしていたのだろう。言い出した兄の方が若干引き気味だった。
『さ、さ、庭に出ましょう鍛錬道具をどかします』
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シャンプー(プロフ) - ゆーさんさん» 不快に思われたのなら申し訳ありません。注意書きを付け足しておこうと思います。 (2019年8月9日 12時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーさん(プロフ) - あくまで二次創作ですので、時透母についてはこういう人なのだというような感想を持たないようにお願いします。 (2019年8月8日 17時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - にこちゃんさん» ありがとうございますー!!!私も時透くん推しです!!じわじわ書き進めておりますのでまったりお待ちくださいませ…!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
にこちゃん - 私、推しが時透君なので嬉しいです!更新待ってます!応援しています!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!時透くんかっこかわいいですよね!頑張ります…!! (2019年7月22日 17時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャンプー | 作成日時:2019年7月22日 1時