【二十】 ページ21
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「さあ着いたぞ、降り…」
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ろ、と口にするより早く
私の方に振り向いていた御者の口から溢れ出したのは……鮮血。
飛んで。私の顔にも少し、赤が付く。
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何が起こったのか、咄嗟に理解できなくて
固まる。何、どうして血を吐くの。
ゆっくりと……御者は、倒れていく。どさっと
私の前で、動かなくなる。背中を、斬られている。
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―――殺された！
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悲鳴をあげようと息を吸い込む私の口を
ばっと。手が、塞ぐ。
いつのまに、気付かないうちに開いていた馬車のドア
乗り込んできたのは男？
がむしゃらに暴れて、抵抗を試みる。
殺される、殺される、殺される―――！
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「安心してくれ、君を助けに来たんだ」
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その声は。低く、静かに、鼓膜を震わせて
助けに来た……？言葉の意味を、理解して全身の力を私が抜くと
口を覆っていた手もなくなった。
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私の隣には、見たことのない男性が座っていた。
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「貴方は……？」
「悪いが説明している時間はない、早くここを離れなければ」
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行こう、と私の手を取って男性は馬車から降りた。
私を強引に引っ張って歩くスピードは速すぎて
私も、何か問いかける余裕なんてなくて。足を動かすので必死になる。
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―――正面から見れたのは一瞬だったけれど
綺麗な顔をしていた、と思った。
全く似ているところなどないはずなのに、なぜか
旦那様を思い出させる雰囲気の。
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「あの、せめて……お名前を……っ」
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ようやく訊けたのは、それだけで。男性は何も言わなかったから
聞こえなかったのか。あるいは無視かとも思ったけれど
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「―――櫻井。」
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沈黙の後、振り向くこともせず、速度を落とすこともなく
男性は短く早口に名乗った。
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なるちゃん(プロフ) - うーむ、未だかつて読んだことのない味わい、、、さすがの一言 (2017年7月26日 22時) (
レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
玉梓(プロフ) - chu-chu***さん» 青い鳥サイトのせいかあまり久しぶりな感じもしないですね（笑）とはいえこちらではお久しぶりです。なかなか鋭いコメントです。椿、気になりますよね。大和田も何をしてくれてるんだという気がしないでもないですが。住人が3人になった紅玉館の行方に御注目ください。 (2015年8月11日 9時) (レス) id: 39f84c63ac (このIDを非表示/違反報告)
chu-chu***(プロフ) - お久しぶりです玉梓さん｡そして第1章お疲れ様です｡序盤はミツコとJのやり取りにニヤニヤクスクスしましたが椿登場があってはそうもいかなくなりそうですね…｡椿が今後どんな働きをするのか楽しみです!無理せず頑張ってください＊ (2015年8月11日 9時) (レス) id: 5adc94e614 (このIDを非表示/違反報告)
玉梓(プロフ) - ムーナカさん» 温かいコメントありがとうございます。そうですね、立ち位置的には今回のお話は序章といってもよいお話だったかと思います。引き続き面白いと言っていただけるような作品になるよう、頑張りますね。よろしくお願いします。 (2015年8月11日 9時) (レス) id: 39f84c63ac (このIDを非表示/違反報告)
玉梓(プロフ) - 愁(ｼｭｳ)さん» お久しぶりです。コメントありがとうございます、嬉しかったので返信もしちゃいます（笑）特殊な設定の多いお話なので作者だけが先走りして「玉梓オンリーワールド」になってしまわないよう気を付けながら、引き続き頑張ります。よろしくお願いします(^^) (2015年8月11日 9時) (レス) id: 39f84c63ac (このIDを非表示/違反報告)
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