【リヴァイ】人類最強の為に生きる少女の、ちょっと大人な恋物語Ⅳ【進撃の巨人】 (ページ9)

今日:7 hit、昨日:72 hit、合計:81,280 hit

Episode.159 夢に見たページ9

.

あれから…冬が明け、春が芽吹く頃…ウォールマリアの安全が完全に確保され、シガンシナ区から昇降機が降りる許可が出た。

それは、再度壁が壊されてから１年…シガンシナ区襲撃からは６年が経過したころだった。

多大な犠牲を払った後に手に入れたものは、けして明るい未来ではなかったけど…それでも、私たちは進む他…なかった。

その後、調査兵団の皆と共に壁外調査が行われた。

そこに巨人はもう殆どいなくて、快適に馬を走らせながら、私たちが向かった先は―――

明らかに人工的に作られた壁、それを見たエレンはここがエルディア人が巨人にされた場所だと語った。

そしてそこを抜けると…広大な湖…いや、きっとこれが

海―――

それは、もう地平線の彼方まで広がっていて、ここからでは先が見えない程広かった。

馬から降り、ブーツを脱ぎ、皆がそこへ向かって駆け出した。

それは…私も例外ではなく…

「うわ、しょっぱ！！」

「わっ、冷た～！」

「なんだろう、これ、ぬるぬるしてる…」

「おい、あんま不用意に触るなよ」

思い思い、その光景を楽しむ。

私は振り返り、兵長へ手を差し出した。

兵長はかなり警戒しているようだったが、浅くため息をつくと、ブーツを脱いで、ゆっくりと水に足を付けた。

「…これが、海なのか？」

「恐らく…海には、一生をかけても取りつくせない塩があると聞きました」

そう言って海の水に手をつけ、舐める。

うん、たしかにしょっぱい。

「おい、身体に害がねぇとは限らねぇんだぞ」

「はい、でも…なんとなく、大丈夫な気がして…だってもし、塩だとしたら…これ、凄いことですよ」

「…まあ、そうだな」

そういった兵長は地平線の彼方を見つめていた。

なんだかその表情が悲し気に見えて、私は――

「えいっ」

バシャっと水を蹴り上げて兵長に掛ける

「…おい、てめぇ…覚悟はできてるんだろうな」

「出来てますよ！」

「兵長となら…何でもできそうな気がします！」

「…そうか」

そういうと兵長に思い切り水を掛けられた。

全身に。

「わーーー！！ちょっと、全身は聞いてないですよ！」

「知るか、覚悟できてんだろ」

「出来てますけど、そういう覚悟じゃないです～」

「…はっ」

そう言って、兵長は静かに笑みをこぼした。

釣られて笑顔になり、そのまま…兵長にまた、水を掛けた。