Episode.177 兵長の行方 ページ27
.
ガビが勢いよく叫ぶ。
虚ろな目で前を見ると、そこには…少年、ファルコを抱えたコニーの姿があった。
子供を人質に取るその様子は、明らかに正常な判断が出来ているとは言えず…
アルミンがコニーの元へ飛んでいく。
支えを失った身体はいとも簡単に落馬した。
慌てた様子でガビが顔を覗き込んできた。
ああ、この子はきっと…心を入れ替えたんだろうな。
その目は、前よりも穏やかになっている気がした。
無事、コニーの正気を取り戻したのちに、アルミンが近くにあった物資を集め、私に毛布をかぶせる。
「Aには悪いけど、早く戻らなくちゃなんだ…」
「ん、足手まといなら置いてって」
「そ、んなこと出来るわけないよ！ 何言ってるんだよ！」
「…ね、あれから…兵長…見た？」
「…いや、見て…ない」
「…そっか」
「でも、ハンジさんが迎えに行くと言ってたから、きっと…というか、あれ？」
「そうだ、君は…兵長と一緒に…行動、してるんじゃ…」
「……今回ばかりは、お別れかもね」
先ほどのアルミンの話を聞く限り、そのイェーガー派とかいう人は兵長の敵だ。
もし、あの状況の兵長を見かけたら…きっと
ああ、なんで私はまた助かっちゃったんだろう。
兵長…あの時私のことなんて気にせず先に飛んでいれば…あんな怪我しなかったかもしれないのに…
仲間を見殺しには出来ても、さすがに…私のことは、出来なかったんですね…
そういうところが…甘いんですよ、兵長。
Episode.178 久しぶりの顔→←Episode.176 凍える
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 304人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妄想侍 | 作成日時：2023年10月5日 16時
