Episode.108 生かされた命 ページ8
.
「…まあ、同期が心配すんのも理解はできる、てめぇは隙が多すぎるからな」
そう言って、兵長は私の上から身体をどかした。
腕も解放されて、ただ…私はそんな兵長の一挙手一投足を見ていた。
隙が多い…というのは、訓練兵の時から、よく指摘されていた。
でもそれは…てっきり、戦闘の時の話だと…思ってたんだけど…
「え？ それって、日常生活で…ですか？」
「…そりゃ心配もされるだろうな」
「いや、なんというか…隙が多いって、戦闘面の話だとばかり…」
「…そういえば、さっき…お前の為に死んでった仲間がどうの…とか言われてたが…そういうところじゃねぇのか？」
「や、それは…いや、それこそが…この勘違いの原因だと思うんですよね…」
「…ほう、聞いてやらんこともねぇが」
「んー…まあ、ちょうど…誰かに話したかったので…いいですか？」
「ああ」
「…あの、訓練兵最後の日…兵長達は壁外にいたと思うので、作戦の内容とかは知らないと思うんですが」
「ああ、確かに知らねぇな」
「…1班10人弱で班を構成されまして…結果的に私の班は、私を残して壊滅してしまったわけなんですが…」
「…ほう」
「こう、班は通常無作為に組まれるはずだったんですが…私の班は偶然なのか、わかりませんが…なんというか、私に好意を寄せていた方が多くて…」
「無作為じゃねぇと？」
「いえ、無作為では…あったのだと思いますが…だから、私は彼らに守られて、ここまで生き残ってしまったといいますか…」
「なので、私が今ここにいるのは運でもなんでもなくて…」
「彼らの戦死のおかげ…と、いうことです」
「…まあ、それを言い出したらキリはねぇと思うがな」
「俺だってそれで言うなら幾万の兵の犠牲の上に生きてるわけだからな」
「でも、実際兵長は実力もありますし、守られるべき人かと」
「それを決めるのはてめぇじゃねぇ、守る側が決めんだよ」
「俺だって、守られてぇなんて思ったことはねぇ、けど勝手に周りは人のことを庇って死んでいきやがる」
「口をそろえて『兵長は生きてください』とかのさばってくるんだよ」
「だから…もうそれは、そいつらの意思は…こっちじゃどうにも出来ねぇだろ」
Episode.109 守る→←Episode.107 素人○○
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
妄想侍(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます！本日更新のお話を読んで頂けますと幸いです…！引き続き楽しんで頂けるよう頑張ります！ (10月4日 17時) (
レス) id: 04ac1c6370 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 夢主（主人公）は死なずに生きてますでしょうか？ (10月4日 6時) (レス) @page48 id: 98daa3d62c (このIDを非表示/違反報告)
妄想侍(プロフ) - ああさん» コメントありがとうございます！最近更新時間まばらですみません汗。一応ラストまで構想は出来てるので、最後まで更新頑張ります〜！ (10月3日 17時) (レス) id: 04ac1c6370 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 更新してくださったのですね！ありがとうございます、、嬉しいばかりです。私この作品が大好きなので更新これからもよろしくおねがいします (10月2日 22時) (レス) @page47 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
妄想侍(プロフ) - さやさん» コメントありがとうございます！わ〜すごく励みになります…！今後も更新頑張ります！ (9月20日 17時) (レス) id: 04ac1c6370 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妄想侍 | 作成日時：2023年9月2日 16時
