コスプレしてほしい！【坂田銀時】 優衣さんリク ページ33
職場の甘味処にむかうために街を歩いていたら、奇妙なものに遭遇した。
端的に表すと、緑色の可愛い恐竜の着ぐるみを着た銀髪天パ。
もうちょい詳しく説明すると、その恐竜は口の部分がぽっかり開いていて、そこから顔が出てる。手にはチラシがたくさん。なんでチラシを恐竜に配らせようとしたのだろうか。
「何してんの？」
とりあえず、興味半分、呆れ半分で声をかけてみた。
すると、銀時はビクッと音がしそうなくらい肩を上げて、恐る恐るこちらを向いた。
そして諦めたように、投げやりに返事をした。
「見たらわかるだろ」
「予想はつくけどわかりたくない」
こんなバイトをしなければいけないほど、自分の彼氏がお金に困っているとは思いたくない。
思わず、ため息が出る。
「なんだよ、俺だって、本当はこんなバイトしたくねえよ」
ブーブー言う銀時を無視して、私は自分の携帯を取り出す。
無言で銀時に向けて
カシャッ
「ちょっと、なに勝手に撮ってんの！？」
ちょっと慌てたような銀時の声に、
「せっかくそんな可愛い着ぐるみ着てんだからさ、写真ぐらい撮ろうよ」
淡々と返事をする。
「じゃあ、一枚につき、千えｎ…」
「は？」
「あ、いや、なんでもないです、すみません」
何故か若干顔が引きつった銀時に、天使の微笑みを返すと、もっと顔が引きつった。
「写真撮るんだからそんな怖い顔しないで、がおーとかやってよ」
「がおー」
なんともやる気のなさそうな……。まあ可愛いから、今日はこれで勘弁してやる。
「じゃあ、私行くから」
くるっとターンして、もともと向かっていた方向に歩き出そうとしたら、
「待てよ」
甘い声と一緒に、抱きしめられた。
って言っても、着ぐるみだから、後ろに手を伸ばすのがいっぱいいっぱいて感じだ。
顔がモフモフの生地に埋まる。
道端で抱き合う成人女性と恐竜の着ぐるみ。これって、傍から見れば、すごい奇妙な光景なんだろうな。
そう思いながらも、その胴体に思い切り抱き着く。
「お前の仕事が終わる時間には俺のバイトも終わってるから、仕事終わったらうち来いよ」
着ぐるみのせいで少しくぐもって聞こえる声に頷いてから、私は着ぐるみから離れて、歩き出した。
お仕事がんばってね、恐竜さん
ラッキーキャラ
ヤクルコを飲んでいる晋助
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