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「え、先生送っていくって…」
「風邪ひかれても困るしね。」
そう言いながらパソコンを閉じて、帰る用意をし始める。
「もうちょっと生徒とか減ってからね。バレたら怒られちゃうから。」
人差し指を立てて口元に当てて「ナイショだよ」なんて言う先生。
「はい…」
先生に送ってもらうなんて。
普段よりもちょっとでも先生と長くいれる。
それが嬉しくて、ちょっと口元が緩む。
先生に気づかれないようにこっそり深呼吸。
暫くたった頃、先生が椅子に座ったまま体を伸ばして言った。
「さ、そろそろ行こうか。」
「あ、はい。」
準備が出来ている先生を見て慌てて荷物を持つ。
普段は通らない西校舎の廊下を歩く。
殆どの生徒が知らないであろう小さな扉から外に出る。
「車、そこだから。走るよ？」
手前にある白い車を指さす。
「あ、はい！」
屋根の下から先生の背中を追いかけて雨の中を走る。
乗って、と言いつつ後部座席のドアを先生があける。
私が車に乗り込むと、ドアをバンッと閉めて運転席に先生も乗り込んだ。
「結構濡れちゃったね。タオル、持ってる？」
わしゃわしゃとタオルで頭を拭きながら後部座席を振り返る。
「も、持ってます…」
普段はきっちりしているのにタオルで拭いたせいで乱れた前髪がどうしようもなくかっこよくて、先生の顔を直視できない。
「門出る時だけ、隠れて？」
そう言われて後部座席と助手席の間に体を押し込む。
先生がただただ運転するだけの時間。
バレないかなって、先生かっこいいなってドキドキした。
心臓の音がきこえないかな？
ドキドキと音を立てる心臓を落ち着かせるように、そっと息を吐いた。
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作者名：舞蝶 | 作成日時：2018年10月21日 19時
