依存症。 (ページ10)

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｢Aと会ってないのに好きって気持ちが溢れる｣
｢…うん｣
｢でも、その分不安も膨らむ。…このまま会えなかったらどうしようとか｣
｢…。｣

そう言う北斗を見て途端に甘えたくなった。
終わりの準備をしている私とそれを無意識に感じている北斗。

あのね、準備をしているのだってお互いの傷つくダメージを少しでも減らそうとしてるからなの。
私だって会えない時間は好きと不安が交差し合ってすぐにでも抱き締めて｢大丈夫｣って言ってもらいたかったよ。

でも普段甘える事をしない私はどうしていいのか分からなくて…。

｢ほくと｣
｢うん？｣
｢…ほっく｣
｢なに？｣
｢……ほくち｣
｢どうしたの(笑)｣

名前を呼んで見つめることしか出来ない私に笑いながら首を傾げるから手を広げてみる。

｢ん！｣
｢ええ？なにその腕｣

何その腕じゃないでしょ！抱き締めて！って腕でしょ！
なんでわかんないかなぁ！って思いながらもずっとやってるからだんだん恥ずかしくなってきてしまいその腕を下ろす。

｢もういい、｣

そう言ってそっぽ向いていじけてみる。
いつも汲み取ってくれるのになんで今日はそんな鈍感ほくちなの。

だけど、

｢A？どした？｣

って北斗が私のすぐ横に座り直すから
身体はそっぽ向いたまま手だけを北斗の方に動かしてそこにあった手を握る。

｢…腕をひろげたら、｣
｢？｣
｢一個しかないじゃん…｣
｢いっこ、｣

あぁなんでこんなこと言わなくちゃいけないの。
すっごく恥ずかしい。

｢A、こっち向いて｣
｢ぜったいやだ｣
｢…恥ずかしい？｣

こいつ、アホなのか？
多分身体中の熱が顔に集中しているのにそんなあかべこ見せれるわけないじゃん！

とか思ってたらいきなり握ってた手を引っ張られて無理やり向かされた。
驚いて北斗を見ると少し北斗もビックリした顔をしてその後優しい顔をした。
それすらも恥ずかしくなって下を向くと

｢…抱きしめてほしかった？｣

って、ほらやっぱり最初からわかってたんじゃん。

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