［完］もう二度と会いたくなかった3【佐野万次郎】

そばにいられるなら ページ20

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ーside 蘭ー



「クッソ…」



運悪すぎじゃね。

つーか今更なんでアイツらと再会とかすんの。すげームカつく。

ここ最近、Aと全然会えてない。アイツらに会うまでは週に2、3回は会えていたはずなのに、それも全くだった。

一人で考え込む、長考タイプのアイツはこういう時は絶対一人になりたがる。



「…荒れてんな、兄貴」


「あー？そりゃムカつくわ」


「だからとっとと言っちまえばよかったのに」


「…竜胆。今日あの香水くっせー客、お前の卓に押し付けるから」


「はぁ！？ふざけんなよ！！」


「お前が俺の癪に触ったのが運の尽きだなぁ？」



あー、ムシャクシャする。

元東卍のヤツらとは関東抗争とかで顔を突き合わせていたものの、それ以来はパッタリだった。



「兄貴って何でンなにAに執着すんだよ。つーか、Aことだからなーんも気がついてないだろうし」



竜胆の言うことはまあ、そうなんだけど。

そろそろ仕事の準備をしなきゃ遅刻すんな、と思って立ち上がりながら「だってさ」と言葉を続けて一応理由を告げた。



「“俺がいないとダメ”って感じのAが可愛くて仕方ねーんだもん」


「…こっわ」



男なんてそんなもんでしょ。

独占したい。俺だけって言って欲しい。俺しか見ないで欲しい。

けどさ、アイツ、自分で気がついてるか知んねーけど俺を精神安定剤にしか思ってないだろうし。

それに、今佐野万次郎が出現したことで俺は益々出番ないし。



「の割には、意外と奥手だよな兄貴」


「…ありゃどう見ても俺の出る幕ないでしょ」



最初から。認めたくねーけど。

アイツには、一貫して一人しか見てない。

ずっと。これからも。



「だから、奥手でもなんでもいーわ」



Aのそばにいられるなら。



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