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ーside 真一郎ー
「Aー、どうした?」
『別にっ』
「また万次郎と喧嘩でもしたのか?」
『そんなのいつもだもん』
今日は店にはAが来なくて、不思議に思いながらも家に帰ると居間にAがいた。
なんだか不機嫌で、エマも万次郎も原因がよくわからないらしく、何故か今日は家に帰らないと一点張り。
「はぁー、面倒くさ」
『うるせー、まんじろー』
万次郎はまたAが怒りそうな一言を言うものの「ん」といつもの飴をA「に渡してAは黙って素直に受け取った。
「ほら、どうした?父ちゃんと母ちゃんと何かあったか?」
『…』
俺がそう声をかけると、Aは黙り始める。
「ほら、おいで」
『ぅっ…』
椅子に蹲っていたAに両手を広げるとすぐに抱きついて来てそのまま持ち上げる。
「夕飯、すぐ行くけど先食べてていいから」
「んー」
「真兄、よろしくね〜」
.
俺の部屋に連れて行き「ほら、話してみろ」と話を促すとAは内容がめちゃくちゃになりながらも頑張って伝えてくれて、俺はそれを黙って聞いていた。
「…そっか」
『くだらないって思うでしょ、でも私にとって大切なことだもん…っ』
Aはどうやら美術の時間で描いた作品が選ばれて展示会に出品されることになったらしい。
簡易的な展示会だから開催は2日間だけ。休日に行われるものの、Aの両親は繁忙期で行けないらしい。
Aは正直、これといって特技もないし趣味があるわけでもない。Aにとってはとても喜ばしいことなのは俺でもわかる。
「大丈夫だって。俺が父ちゃんと母ちゃんの分も観に行くから」
『…お母さんとお父さんに観てもらいたいの』
「ありゃ…。んなこと言ったってなあ…」
どうすればいいかと考えを巡らすが、さすがに何も思い浮かばない。
「…A。俺だってお前の家族には変わらないだろ?確かに2人の代わりにはなれねーけど…」
なんて言えば良いかわからなくて、俺も言葉が拙くなる。
そしたら「ふふっ」と笑う声が聞こえてAの顔を覗くとAは何故か笑っていた。
「はぁ…?」
『しんいちろーが、私のためにいっぱい考えてくれてるのうれしい』
「…ったく」
またいっぱい食わされた気がしたけど、Aが笑ってくれたから全部チャラだ。
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水原カノ(プロフ) - さまさん» 本当ですね…!ご指摘ありがとうございます(^^) (2023年1月12日 16時) (レス) @page4 id: dc8eb8059d (このIDを非表示/違反報告)
さま(プロフ) - 3歳は小学生じゃなくないですか、、? (2022年12月29日 10時) (レス) @page4 id: 515ce007de (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの娘です - 何度も見返してしまうほど面白いです!それに更新早いですね!←三週間作品を更新してない人 (2021年10月12日 19時) (レス) @page19 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの娘です - ゑ?、、、、、あっなんだ神かぁ。好きです!更新頑張ってください! (2021年10月12日 19時) (レス) @page9 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水原カノ | 作成日時:2021年10月11日 19時