声だけでも...…K.K ページ6
声だけでも
「いまお布団の中にちゃんといる?」
「いるよ」
「あったかい?」
「あったかいよ」
「ごはんはもう食べた?」
「たべたよ」
「たくさん寝てごはん食べて、ね、ゆっくりすれば大丈夫だからね」
「うん」
「うー、そこに行きたい」
「言わない約束」
「うう」
「声だけでも嬉しいよ」
「わたしは、けいちゃんが存在してくれるだけで嬉しい」
「大げさだなぁ」
「ほんとだよ。生きて笑っててくれてたら、二股されても振られても無職になっても、わたしは嬉しいよ!」
「そんなことにならないよー」
「うん。でも、そういう気持ちってこと」
「ふふ、A変なのー」
「声しか聞けないの、もどかしい」
「いつも、看病にきてくれるもんね」
「今も行きたいよ」
「だーめ。もう少し」
「もう少しだけ我慢だよね?」
「うん、もう少しだけ」
「いつもいつも、けいちゃんのこと考えてるよ」
「おれも」
「もう少しね」
「もう少しだよ」
いつも甘えちゃってごめん。
ほんとにいてくれさえすれば嬉しいの。
タイムマシンがあったらいいのに。
はやく笑ってるあなたに、会いたい。
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作者名:由乃 | 作成日時:2020年10月27日 11時