NEWS日和 2 (ページ41)

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ＶＳ……T.M. ページ41

貴くんは綺麗好き。
物はきっちり置く。服はきれいに畳む。扉は静かに閉める。きれいな生き物だなーとおもう。

わたし。
わたしは、

｢ほらAここ！バッグ置きっぱなし！！｣

お、今日も元気だな貴くんは。

｢はーい｣
て、わたしは素直に返事をする。
わたしは大雑把でめんどくさがりの適当女なので、素直だ。

｢あと靴汚ぇ！｣
て、貴くんは細かいとこがよく見えてキッチリしてるしっかりさんなので、いじわるだ。

｢汚ぇって言わないの｣
ってわたしは注意しながらバッグをクローゼットに戻してきて、靴にブラシをかける。なんのかんのいって、貴くんのおかげで暮らしはまわっていく。

｢汚ぇもんは汚ぇ｣
｢言い方ー｣
｢きたねぇAだなぁー｣
って言いながら、素直じゃない貴くんは苦虫をかみ締めたような表情でわたしの髪を引っぱる。

わたしは髪をさわらせてあげながらソファに横になる。
貴くんはソファの背のとこに立ったままわたしの髪をさわさわしてたけど、ふぅ、って息をしてからソファにすわる。そしてそっとわたしの髪をなでる。

｢髪はきれいなんだよな｣
｢まあねー｣
｢外側だけきれいにしてもすぐバレるぞ｣
｢貴くんすぐわかったよね｣
｢だってぜーんぶおおざっぱだものお前｣

そう言いながら、ピーンとわたしの髪を引っぱるから｢いたい｣ってわたしは貴くんを見る。

貴くんは、すごくすごくやさしい表情でわたしを見ていて。
わたしと目が合うと、はっとしたように目を逸らした。

｢Aはいろいろ困った女だな｣
｢その困った女を好きな人がいるんですよぅ｣
｢じしんありすぎ｣

ひらがなの響きでそう言って、貴くんははぁ、ってソファに背中を預ける。それから天井を見てしばらくぼんやりする。
なにをかんがえてるのかな？

｢こんど一緒に断捨離しよ？｣ってちっちゃく貴くんが言う。

｢いやよーわたしは物があるのが好き｣
｢ほんっっと、素直じゃねぇ｣
｢なにを言われても貴久もすき｣
｢！｣
｢すなおでしょ？｣

わたしが微笑むと、貴くんは半分困ったような顔で笑いながら、Aには負ける、って、つぶやいた。