SweetSweetSweet……K.K. ページ40
二、三ヶ月に一度くらい、けいちゃんが部屋にこもって出てこない日がある。
やさしくて人にいっぱい気を使う頭のいいひと。だからこそ、たぶんいっぱいいっぱいになっちゃうことがあるんだろうな、って思う。
そんな日はわたしも話しかけないし、部屋にも行かない。ごはんもおふろも別。リビングで音小さくして音楽聞くくらいにして、はやめに寝ちゃう。
そしたら、次の日にはもう、けいちゃんは出てきてくれる。
「いつもごめんね……」
って、本当に申し訳なさそうに眉根を下げて、わたしのところまできたら、ぎゅうって、抱きついてくる。
わたしはよしよし、ってけいちゃんの髪なでながら、もう大丈夫かな、って確認する。
目は腫れてないね、鼻も赤くないね、ニキビもできてない、いつものつるつるお肌にちゅるるんの瞳。
ちょっと涙目かなぁ。
でも、口角はちゃんと上がってるし。
いつものけいちゃんだ、ってわかったら、わたしは「だいじょうぶだよー、気にしなくていいんだよー」って声をかける。
たまに、まだまだダメなのに出てくる時もあるから、そんな時はもう少し手をかける。まだ部屋に帰った方がいいよ、って優しく伝えなくちゃいけないし、あんまり触れない方がいい。なにが地雷になるかわからないから、そっと、そおっと。
でも今日は大丈夫。
わたしはけいちゃんの髪や、顔にふれる。ああ、会いたかった。この1日でどんなに会いたかったか。どんなに心配だったか。
いつも自分がどれだけけいちゃんに甘やかされているか、その時に、知る。
頬にふれると、けいちゃんは少しわらう。キスすると、嬉しそうにキスし返してくれる。髪をなでなでしながら、「けいちゃんがこの世でいちばん大事だよ」って伝えて、ぎゅうって抱きしめる。
けいちゃんはされるがままで、いつもあんなに男らしいのに、ちいさなこどもみたいにわたしにあやされる。
「けいちゃんがどんな人でもどんな人になっても、わたしはけいちゃんが好きだよ」
繰り返す好きに、けいちゃんが満たされるまで。
わたしの甘い蜜の中で、溺れてしまってよ。
あなたの暗闇に、あなたを渡しはしないから。
けいちゃんは、わたしの声に、こどもみたいにほほえんだ。
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作者名:由乃 | 作成日時:2020年10月27日 11時