NEWS日和 2 (ページ3)

今日:1 hit、昨日:16 hit、合計:17,935 hit

ねてた夜……T.M ページ3

夜中に目を覚ました。
とっても怖い夢を、見てた。
その場から動くのも怖くて、一瞬かたまったけど、そろそろと手をのばしてみる。

とん、と、かたいものに当たった。
あわててそれにくっつく。

あったかい。

ぎゅっと手を回す。
まるい感じもする、大きな背中。手を回した先はかたいお腹。
すうすうと呼吸してる。おそるおそる目を開けて確認したら、ふわふわした髪の毛が呼吸に合わせてすこし揺れてる。

そっとさわった。
見た目よりも少し、かたい感じがした。

｢……んん？｣
まだ目覚めてない声。ああ、貴くんの声だ。

｢怖い夢見たの｣

聞こえてないと思うけど、言ってみた。

｢んーー｣

吐息で返事をして、貴くんがぐるりとこちら側をむいた。目を閉じたまま手探りでわたしの髪を探って、よしよし、と撫でてくれる。
それから頭のてっぺんにあごを乗せて、言った。

｢こわいゆめみたの？｣
｢見た、めちゃくちゃ、こわかった｣
｢んーー｣

起きてるんだか起きてないんだかわからない話し方。
見えるのは、のどもとと胸元。
一定のリズムで揺れる胸。

でも寝てても、ここにいてくれれば大丈夫なの。
名前を呼んだらすぐ手をのばしてくれる。
背中を向けられてても、目を開けたら、ぼわぼわした襟足とかちょっとふっくらした耳が見える。

そしたらもう、安心できる。

起きてる時はそうでも無いのに、寝てる時の貴くんは、呼んだらすぐ振り向いてくれるから。
怖い夢を見たらいつもすぐ、貴くんを呼ぶ。
貴くんはいつも、たすけてくれる。

そこにいるだけで。

寝てる貴くんの、胸元にそうっと両手を当ててみる。
おだやかな呼吸。
あったかい体温。

大丈夫大丈夫、こわいことは全部夢。
明日の朝目が覚めたらそこは光に満ちてて、貴くんが｢おはよう｣って言ってくれる。
朝ごはんもぐもぐおいしいーってしてくれる。

だから大丈夫。

｢おれが、いるよ｣
ぼそっと、頭の上から声が降ってきた。大好きな声。
眠そうな声。

わたしはそっと目を閉じる。
貴くんがそばにいてくれたら、きっと、怖いことなんかない。