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翔ちゃんが出かけてから、熱いシャワー浴びて、洗濯や掃除を済ませた。
「あ、もうこんな時間」
ふと、気づけば夕方…
そろそろ夕飯の買い物へ行った方がいい時間帯。
急いで身支度を整えるとマンションの部屋を出た。
「あのぅ…、」
自分の名前を呼ばれたわけでもないのに、声をかけられた私は立ち止まり振り返った。
たぶん、この時に立ち止まってしまったのが間違いだった。
どうして、聞こえないふりをして、通り過ぎなかったんだろう……
そうすれば、私は自分が知りたくないことを聞かずに済んだのに……
「え……？！」
声をかけてきたその人を見て、“どうして？”という思いが、真っ先に浮かび上がった。
「ちょっと、いいかしら？」
それは、誰でもなく、私に向けられた言葉。
ただ、物を落として拾ってくれた…とかではなく、私に対してはっきりと意思を持った言葉。
私と彼女との間に接点なんて何一つない。
もし、あるとしたら…
“翔ちゃん”という存在のみ。
だけど、それを知っているは私だけで、彼女は私のことを知らないはず。
それなのに、どうして――？
「え、あの…」
どうしていいのか戸惑っていると
彼女はニコッと笑った。
「ごめんなさい…いきなり声をかけられたら戸惑うのも無理ないわよね？」
「……」
「私、塚田ユミと言うの…。翔くんとは同級生で、この前、彼の部屋を訪ねたんだけど…」
「は、はい…」
この前というのは、私が自分のことを翔ちゃんのお家の家政婦さんだと言った時のことだと気づき、戸惑いながらも頷いた。
だけど、そうだからと言って、ユミさんが私に声をかけてきた理由がわからなかった。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年12月7日 22時
