710. 彼女のフリ ページ10
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「待ってた…というか、あの…だから」
困ったようにうつむく彼女の長いまつ毛が
フルフルと揺れる。
修「さっき、きちんと言ったはずだけど」
「…やっぱり、私じゃ、ダメですか？」
あれ？
ひょっとして…これって
愛の告白…とかじゃないの？
「あのぅ…私、お邪魔みたいなので…」
そっと、二人を置いて帰ろうとする
私の手をがっちり掴む修くん。
それも、なぜか指先を絡めるような恋人繋ぎ。
それを見つめる彼女が、私に聞いてきた。
「失礼ですけど…あなたと彼は……？」
「えっ、私はただの幼な…」
修「俺ら、幼い頃から…
ずっと付き合ってる仲なんだ」
「ちょっ、修くん！？」
幼い頃からずっとって
確かに間違えてはいないけど
誤解されるから…
修「こいつは、俺の大切な人だから…」
え！？
……そういう嘘はマジ止めて。
「そ、そんな…」
ほらほら、彼女泣いちゃったじゃない。
どうするのよ……って
修くんを見上げれば。
頼むから話を合わせてくれって
目で訴えてくる修くん。
ああ…もう。
修くんって、昔からこういう性格なんだよね。
だけど、いつも私を助けてくれる修くんだから…
例え、それが私にとって迷惑を掛けることであろうと…
今は、話しを合わせてあげることが
彼を助けることになるのかな？
「なんで、どうして…」
そう思うよね？
私もなんで、どうして
修くんの彼女の演技をしなきゃいけないのか
わからないよ。
修「…ごめん、そういうことだから」
そういうこと…って、どういうことよ。
「あのさぁ…私を巻き込まないで、くれる？」
修くんにしか聞こえないくらいの
小声で文句を言うと
修「フリだけだから…頼む」
修くんもヒソヒソ声で私に話しかけてくる。
唇を噛みしめる彼女の視線が私を見た。
「こんなオンナのどこがいいのよ…」
こんなオンナ呼ばわりされてるけど…
私…一応
翔ちゃんの彼女なんですが…って
困りながらへらっと笑ってみたら…
「私をバカにして笑わないでよ！」
「いえ、決して…そんな、つもりは、」
ーバチッーン！！！ー
「痛っ…」
おもいっきり
私にビンタをくらわせた彼女は、
「最低ッ！！」と
私に言葉を吐き出し
おもいっきり私を突き飛ばすと
その場から、逃げるように去っていった。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年8月27日 23時
