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『なんで、下着着けてんだよ…』
残念そうな声と共に、唇が離された。
「なんで、って…下着も着けないで、
その辺歩けないし…」
『確かに……俺もAがノーパンで、
その辺歩きまわってたら、それはそれで心配だけど(笑)』
「それに、露天風呂に落ちるなんて思わなかったし…」
『溺れかけるとも思わなかった？(笑)』
「……うん(笑)」
でも、本当に。
「…二度も溺れた私を助けてくれて、
ありがとう…」
私は素直にそう言うと、
翔ちゃんの膝の上から降りた。
だけどまた、翔ちゃんに引っ張り戻され
「えっ…？」
一度、離れかけたはずの体は、
翔ちゃんに抱きしめられる。
「ちょ…っ、」
『なんか、文句ある？』
低い声音が、気のせいか…
意地悪に聞こえ
昨夜の翔ちゃんを思い出してしまう…
「まだ、朝早いから…」
『早いから、なに？』
翔ちゃんは掴んだ腕を離してくれない。
「昨夜も、ほら……遅くまでアレだったから」
『アレ…って、なんだよ(笑)』
翔ちゃんの意味ありげな視線とぶつかり、私は気まずさから目を泳がせた。
「アレ…って、ほら寝るの遅かったし……」
『俺は、熟睡したし問題ないよ？』
「や…、え？だってこんなに明るいし、
私はこんな格好で…」
『俺は裸で、Aは浴衣着てるよな(笑)』
「なんか、これって…」
濡れた浴衣が気のせいかヤラシイ…気がする。
私自身が、妖艶さを醸し出している
要素があるかないかは別にして……
『まあ、簡単に言ちゃうと』
「…うん」
『Aが浴衣を着て、まっ裸の俺に抱かれながら…』
「……うん」
『露天風呂に入ってるこのシチュエーションは、“誘ってる…”以外に、表現しようがないんですけど…(笑)』
そう言うと、また意味ありげに笑って見せた。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年6月18日 0時
