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私が、お返しにと
翔ちゃん体重を預けても
全くなんともないみたいで、
翔ちゃんは苦笑いしながら私を抱き寄せた。
『もう、こんな体冷えちゃって』
「心配してくれてるの？」
『当たり前だろ、また風邪引いたらどうすんだよ』
「翔ちゃん、心配し過ぎ(笑)」
『そうだよ、俺は心配症の性格なの』
そう言うと、私の手を引いて露天風呂に向かう彼。
「…お風呂、入るの？」
『帰る前にちゃんと冷えた身体を温めなきゃな』
やっぱり、翔ちゃんって優しいなぁ…
私のこと、こんなに心配してくれてるし
ニコニコ笑って翔ちゃんの後ろを着いて歩いてると…
「…え、翔ちゃん？」
『なに？』
翔ちゃんが、浴衣を脱いで裸になった。
「翔ちゃんが入るの？」
『俺も入るし、Aも入るに決まってるだろ？』
そう言って裸のまま、振り向く翔ちゃん。
「ちよっ、翔ちゃん！」
私は慌てて下を向いた。
『ほら、入って、身体温めよう？』
けれど、翔ちゃんは私の腕を容赦なしに掴む。
「あ、あれ、ほら、バスタオル持って来なきゃ」
『バスタオルなら、持ってきてるよ』
「……そ、そうなんだ、、」
翔ちゃんの裸は目に毒…じゃなくて、
体に悪い…じゃなくて、
とにかくいろいろドキドキするんだから…
脱ぐなら、脱ぐで、前もって言ってくれたらいいのに。
石畳の上に置かれていた私の足が、ヒノキの淵へと掛かった。
ツルッ――
滑った足元に、身体がついていかない。
……え？
私の目に映ったのはゆらゆら揺れる水面と、
そこに反射した朝日。
ほんの一瞬の出来事なのに、なぜかスローモーションのようにゆっくり水面が迫って来て
「――…わっ！」
ザッバーン！
私の体は湯船の中に放り出されてしまった。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年6月18日 0時
